私とこうしろうは,ITネットワークアシストたかおか(略称NAT)という「たかおか(富山県高岡市)」のIT(情報技術)推進をアシストするボランティア団体に所属している。そのNATで来る11月16日にITフェスタという催し物を実施するのだが,多彩なブースの一つとして,今年はマインドストームによるロボットコンテストとロボット作成講座を行うことになった。
 こうしろうはロボットコンテストにエントリし,私はロボット作成講座で,来場した子供たちがロボットを作るサポートをしようと思っている。

 エントリしたのはいいものの,運動会やら学校祭やらと生徒会行事にのめり込んでいるこうしろうは一カ月前になっても,ロボットの仕様を考える気配すらない。運動会の時はシルクハットのようなものをかぶり司会をしていた。ほのちゃんはそれを見て「にいちゃん,バケツかぶっとる」と笑っていた。学校祭の前は,テーマ室で流すビデオの編集を夜中の1,2時までやっていた(Windowsムービーメーカー2はなかなか使えるらしい)。父は「眠い」と寝てしまうのだが,「体が心配で」と付き合って起きていた妻はゲッソリしていた。

 10月25日 一連の学校行事と中間テストが終わり,やっと,こうしろうがロボットコンテストについて考えだした。今回のITフェスタのテーマは祭りなので,「祭りにちなんだもので…」とお神輿やら,獅子舞などを考えていたが,なぜか西洋の祭り,ハロウィンに行き着いた。ハロウィンでお菓子を配るおばさんを作るのだという。


 ステージを動きまわって,子供を見つけてあめを差し出すという設定である。

 10月26日 ロボット製作が始まった。



 「手伝って」と言われたかずは,足元に取り付けるタッチセンサーを押し込むバンパーを作っていたが,しばらくすると,また昔のようにひとりでコマを作りだしてしまった( 第62話参照)。ほのちゃんはそんな兄たちの周りで遊んでいる。

 こうしろうは2,3時間ぶっ続けでロボットを作る。やはり,レゴ好きなのだ。


 画像ではわかりにくいがあめを差し出す仕組みは,ゲームセンターによくある飴を落とすゲーム機と似ている。「あめ3個だと(3個ストックした状態だと),ほとんどうまくいくが,4個だとちゃんとあめが出ないことが多い」と改良を続ける。
 その他の問題点は,かなり大きなロボットになったので歩みが遅いことだ。「これじゃ,おばさんじゃなく,ハロウィンおばあさんだ」と笑う。
 一番上にはライトセンサーがついている。このセンサーでMindStormsの本体RCXの赤外線ポートから出力した赤外線の反射を読みとり,人に近づいたことを検知するのだ。

 プログラムはC言語に似たNQC(Not Quite C)言語を使うという。プログラムの仕様は以下のようになる(はずだ)。
1.定期的に赤外線を出力し,ライトセンサーで反射値の変化を読み取る。
  以前の値と大きく異なる時,目の前に人がいると判断し,あめをあげる動作を行う。
2.あめをあげる動きはモーターでプレートを前後させることで実現する。
3.数秒間前進し,人を見つけられない時は,方向を変える。
4.足元に取り付けたタッチセンサーでステージの端の角材にぶつかったことを検知し,バックして向きを変える。
  (1,3,4はマルチタスク処理になる。)

  がやがやと人が行き来する会場で接近センサーが,うまくステージ上の人だけを認識できるかどうかが成否を分ける。