我が家の自作機アスロン君900MHz(第46話参照)には何かと問題があり安全に使用するには,いくつかの注意事項を守らなければならなかった。「マウスのスクロール機能を使ってはならない」,「国内メーカーのフロッピーを使用してはいけない」,「アスロン君は熱がりなので,こまめに内部の温度をチェックしなければならい」,「ネットであまり重たいゲームはしてはならない」,「メールを送る前には,コンピュータの日付をチェックすること」…。つまり,CPUは高速でHDDも大容量ではあるが,全く信頼のおけないマシンであったのだ(フロッピーデッキや電池を交換しても,効果はなかった)。

 そんなアスロン君に転機が訪れた。マザーボード・メーカーのサイトでBIOSの最新版をダウンロードしアップデートしたお陰で,かずがネットでヘビーなゲームをしてもフリーズしなくなった。うれしくなって15インチの液晶ディスプレイを購入し,「とりあえず,とりあえず」と言って一年も使っていた15インチブラウン管ディスプレイと取り替える。



 座椅子も1980円で買ってきた。おかげで,リラックスしてPCを使えるようになった。以前は,こうしろうやかずの座高に合わせて木のイスを使っていた。



 こうしろうもこの座椅子を使っている。少しずつであるが身長も伸びてきた。子供の背が伸びるのは当たり前のことであるが,親としてはそんなことが一番うれしい。木のイス利用者は,かずとほのちゃんになった。

 しかし,アスロン君にもう問題がなくなったかというとそうでもない。電源を投入すると,10回に1回はハードディスクを認識し損ねる。当初はコネクタを挿し直したり真摯に対応していたのであるが,こうしろうが「昔のテレビと一緒で,叩けば直る」と開き直って以来,ケースを数回コンコンと叩くことにしている。この方法はかなりの確率で成功する。PCの場合,一病息災は当てはまらないのであろうが,全く欠点がないのも味気ないので積極的な対処はしない。

 子供達のインターネットの利用の仕方も,最初はゲームや調べものと画一的であったが,使い込むにつれて個性が反映されてきた。かずは,自動車メーカーなどが提供しているペーパークラフトのサイトを渡り歩いては,一週間後のゴミを増やしている。おっと,失礼,作品を作っている。こうしろうはイトイさんの「ほぼ日」(www.1101.com)を一日も欠かすことなく読んでいる。またkakaku.comでのPCや周辺機器の価格チェックも忘れない(コンピュータとレゴと節約が彼の趣味なのである)。

 でも実は,ほのちゃんが一番強力なネットユーザーなのかもしれない。ぽぽちゃんドットコム(www.popo-chan.com)というお人形のサイトがお気に入りであるが,インターネットエクスプローラの「お気に入り」からサイトを選ぶことはまだできないので,「ぽぽちゃんのドットコム♪♪」と歌いながら,パソコンを使っている人に近づいていっては接続を強要する。断られると泣き叫ぶので,当事者は「はい,はい」と折れるしかない。

 「なぜ,こんなことばっかり書いているのか?」って,それはこうしろうが期末テスト前であるからだ。平日,こうしろうが勉強をしている姿を見たことはないのであるが,試験前の休日になると彼は自室に,こもったきりで食事の時間にしか顔をみせない。で,かずとMindStormsで遊んだ。

11月25日 かずの愛読書『レゴの仕組みで遊ぶ本』五十川 芳仁著に出ている変速機を作る。



黒いレバーを左右に移動させると,噛みあうギヤが変更され回転スピードが変わる。「大きなギヤで小さなギヤを回せば速くまわる。小さなギヤで大きなギヤを回せばゆっくり力強く回る。」かずの口癖になりつつある法則だ。



車に実装するとこうなる。

 「これだけじゃ,本のまねしただけやね。手動じゃなくて,モーターで変速する仕組みを作ろうか」とかずをたき付ける。



モーターを2段重ねにした。下段のモーターでタイヤを回す仕組みは前の画像の通りである。上段のモーターの回転方法をギヤで変換し,ギザギザの板をスライドさせることで,ギヤチェンジを行っている。

 かずがリモコンで操作し,まず下段のモーターを回転させ,ローで車を発進させる。次に上段のモーターを回転させギヤをセカンドに上げる。潤滑油なしで,タイミングだけで噛み合う歯車を変更するという無茶な仕様であるが,すぐに「(ギヤが)入った,入った」とかずの喜ぶ声がしてテスト成功である。