ツイッターなどソーシャルメディアを利用する際に、企業としての活用方針や、従業員に求められる取り組み姿勢をまとめた指針。対外的に公開する企業も増えている。


 Twitter(ツイッター)やブログといったソーシャルメディアが広く普及し、誰もがインターネットで気軽に情報発信できるようになりました。企業でも広報活動に応用する取り組みが増えています。その半面、発信した情報が思わぬ波紋を広げ、いわゆる“炎上”状態に陥るリスクが高まっています。従業員が個人の立場で発言した内容が、所属企業の信頼を傷つけることさえあります。

 例えば2011年5月にはアディダスジャパン(東京都新宿区)の従業員が、同社の契約選手とその家族を中傷したとも受け取れる内容を個人アカウントのツイッターで発信。この内容を閲覧したネット利用者が発信者だけでなく、アディダスジャパンを集中的に非難したのです。その結果、同社はWebサイトで謝罪しました。

 このような問題の発生防止を含めて、企業としてソーシャルメディアにどのような姿勢で臨むかを基本指針として定め、従業員に浸透させようとする企業が増えつつあります。この基本指針をソーシャルメディア・ガイドラインと呼びます。ソーシャルメディア・ポリシーと呼ぶ企業もあります。

効果:従業員が守るべき心構えを示す

 ソーシャルメディア・ガイドラインに盛り込まれる内容は、従業員がソーシャルメディアを利用する際に守るべき心構えや、社としての公式見解と個人的発言との分岐点などです。前者の心構えであれば、傾聴する姿勢を忘れない、第三者の権利を尊重する、ネットでは恒久的に記録が残る可能性があることを理解するといった具合です。

 このような心構えを従業員に浸透させることで、世界中に情報を発信しているという自覚を促し、不注意な発言を防ぐ効果を企業は期待しています。こうした自社の取り組み姿勢を対外的に公開する企業も増えています。

 ソーシャルメディアの活用に積極的な企業では、ブランドイメージを保持する目的でガイドラインを利用する例もあります。どのような姿勢で情報を発信するかを定めておき、担当者が交代しても、1つの企業として同じスタンスで情報を発信し続けられるようにしているわけです。

事例:行動まで踏み込んで規定

 日本コカ・コーラはソーシャルメディア・ガイドラインを一般に公開しています。このガイドラインでは、公認アカウントによる発信だけを公式見解と定めています。同社に対する中傷発言を見つけたとしても、専門のトレーニングを受けた担当者以外は反論することを禁じるなど、他社よりも具体的な行動に踏み込んで指針を策定しているのが特徴です。

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