青森県の電子申請
青森県の電子申請サイト

 青森県はASPを利用した電子申請サービスの運用を2007年11月1日から開始した(発表資料はこちら。電子申請のサイトはこちら)。現在、電子申請ができるのは、行政文書の開示請求、浄化槽設置届、自動車税の住所変更の届出など20数種類(うち電子認証が必要な手続きは4種類)。2010年までに135手続きをオンライン化予定だ。オンライン化対象手続は毎年度見直して、より効率的な運用を図る。

 青森県が採用したASPサービスは、株式会社HARP(本社・札幌市、以下HARP社)が開発・運用している電子申請システム。同社は、北海道内の自治体が共同で構築・運営する「HARP(北海道電子自治体プラットフォーム)構想」を実現するために、北海道、北海道電力、北海道ガスなどが出資して設立された。同社の電子申請システムは、北海道電子自治体共同運営協議会の参加団体から委託を受けて開発されたもので、2006年4月より道内の市町村で共同利用されている。青森県はLGWAN(総合行政ネットワーク)経由でこのHARP社のシステムを利用する。いわば、「北海道のシステムを青森県がASPで提供を受ける」という形だ。

 青森県における導入コストは初期導入費用52万5000円、研修費52万5000円、毎月の利用料は約130万円(いずれも税込み)。利用料は手続数に関係なくシステムの利用料として支払う。青森県では、電子申請の様式についてはHARP社のシステムの仕様に合わせて作成しており、カスタマイズの追加コストは掛かっていないという。以前は電子申請システムの運用に億単位のコストを掛ける自治体も多かったが(関連記事)、ASPの活用で格段に安価な運用が可能となった。青森県では具体的な申請件数の目標設定はしていないが、月に1300件の電子申請があれば、1件当たりのコストが1000円を切ることになる(申請者の申請窓口までの往復時間、窓口での待ち時間、交通費などを金額換算すると、一般的に1000円程度で試算されることが多い)。

 この電子申請システムは、「青森県共同利用型電子申請ASPサービス提供業務」の企画提案競技において採用された。企画提案書を提出したのはHARP社1社だったが「選定委員会において提案内容は県の調達条件を満たしているものであり、県が導入するシステムとして適当である」(青森県)との判断から採用が決まった。青森県では今後、市町村とも共同利用していきたい意向を持っている。