老齢化が進む日本では、遠隔医療の必要性が叫ばれて久しい。だが、政策や法制度上の問題などがあり、普及は足踏みを続けている。主に北米で「RealPresence」という高精細テレビ会議システムを、医療機関に多数納入した実績を持つ米Polycomの担当者に、米国や日本の遠隔医療について話を聞いた。

 元米海兵隊員という異色の経歴を持つエマーソン氏は、看護学の学士号を持つ。米国遠隔医療協会(the American Telemedicine Association)で理事会の役員、同協会傘下の産業協議会で会長を務めた経験がある。

(聞き手は本間 康裕=日経コンピュータ


RealPresenceは、どのような製品なのか。特徴を教えてほしい。

米Polycom ヘルスケア担当グローバルディレクター ロナルド・L・エマーソン氏
米Polycom ヘルスケア担当グローバルディレクター ロナルド・L・エマーソン氏
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 テレメディシン(遠隔医療)に活用できる品質を持つ、高精細のテレビ会議システムだ。動画の圧縮技術に優れており、512kビット/秒でも高解像度の映像を送れる。

 ビデオの品質を落とさないようにするため、Polycom Lost Packet Recovery(LPR)と呼ぶパケットロスをリカバリーする技術も備えている。標準的な技術に対応しているほか、Microsoft LyncやシスコシステムズのTIP(Telepresence Interoperability Protocol)をサポートしており、相互利用が可能だ。

価格はどのくらいか。導入先は大規模な医療機関が多いのか。

 大規模な医療機関がメインのターゲットであることは確かだ。その場合は、完全なエンタープライズソリューションとして、ほぼすべてのアプリケーションを提供することが多い。ただ、小さな病院やクリニック同士など2拠点間をネットワーク化するといった、簡易なローエンド製品も提供している。したがって価格は、数十万円から数千万円まで幅広い。