2011年秋の粉飾決済発覚で経営危機に陥ったオリンパス。ガバナンス改革やソニーとの資本提携、カメラ事業の構造改革などを進めて危機を脱し、2013年7月に1000億円以上の公募増資に成功した。内視鏡事業を軸に攻めに転じようとするが課題も残る。金食い虫と化したERP(統合基幹業務システム)もその一つ。笹宏行社長にこれまでの取り組みと課題を聞いた。
2011年の粉飾決算発覚とその後の改革について、現在の経営トップとしてどのように総括していますか。
不祥事を受けて設置した第三者委員会で指摘された通りで、人事や報酬などで社長の専横を許す仕組みが問題でした。改革のポイントもそこにあります。取締役会と経営の執行を分離し、役割を明確化しました。執行役員は現場の業務を含め執行に責任を持ち、取締役会が監督する。社外取締役を半数以上にして、内々で勝手なことができないようにもしました。
役員人事については、指名委員会を作りました。その過半数は社外取締役で、委員長も社外取締役です。報酬委員会も同様の体制です。コンプライアンス委員会も作りました。これらの改革により、監督、人事、報酬の面で透明性を増し、社長の独断で動かせないようにしました。
事件の後、東京証券取引所により、内部統制などに問題があるとして当社の株式が「特設注意市場銘柄」に指定されましたので、財務と経理を中心に内部統制も強化しました。SOP(標準作業手順書)を見直し、財務と経理でけん制が働くようにしました。結果として、1年という比較的短い期間での指定解除につながりました。