スマートフォンのアプリを開発する際、開発者にとって様々な実機をそろえて検証することはコスト面などで難しい。特にAndroidを搭載するスマートフォンは機種数も多く、ユーザーが使っているAndroidのバージョンも様々だ。こうしたテスト環境をリモートで提供するのがNTTレゾナントの開発支援ポータルサイト「Developers AppKitBox」が用意する「Remote TestKit」だ(関連記事)。Remote TestKitはもともとベンチャー企業のカトマックが開発したもので、2013年5月にNTTレゾナントが子会社化。現在、NTTレゾナントテクノロジーとして開発を続けており、Androidのほか、iOSも対象としている。

 スマートフォンアプリの遠隔テストサービスは、日本ではベンチャー企業のソニックスなども提供している(関連記事)。NTTレゾナント サーチ事業部長で、NTTレゾナントテクノロジーの代表取締役社長を兼務する小澤英昭氏に、Remote TestKitの特長や今後の展開などについて聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=日経コンピュータ


スマートフォンアプリの遠隔テストサービスを提供する背景は。

NTTレゾナント サーチ事業部長 兼 NTTレゾナントテクノロジー 代表取締役社長 小澤英昭氏
NTTレゾナント サーチ事業部長 兼 NTTレゾナントテクノロジー 代表取締役社長 小澤英昭氏

 パソコンと異なり、スマートフォンは様々な会社がプロセッサを出している。OSについてもPC用のWindowsのバージョンアップはそれほど頻繁ではないが、Androidはバージョンアップが多い。そうしたことがアプリの動作に影響を与える可能性がある。また日本では携帯電話事業者がスマートフォンの開発に密接にかかわっており、独自のアプリをプリインストールしているといった状況がある。そうしたアプリの影響を受け、動作しないアプリもある。実際、あるニュースリーダーのアプリを試したところ、Android搭載スマートフォン11機種中3機種しかうまく動作しなかった。

 一般に多くの方は、アプリがうまく動作しないと削除してしまう。我々としては、開発者がいいアプリを作れる環境を提供し、そしていいアプリが広まって、もっとスマートフォンを使ってもらいたい、といった思いがある。

Remote TestKitを提供するにあたり、なぜカトマックを子会社化したのか。

 NTTグループの中でも同じようなサービスの検討を2年くらい前から始めていた。だが、なかなかうまくいかなかった。そうした中でカトマックを知った。

 カトマックのサービスが優れていたのは、ネットワークを介したスマートフォンの画面転送やキーボード操作によるネットワーク経由の文字入力のリアルタイム性の高さ、同期の速さだ。カトマックのサービスはその点が明らかに速かった。

 カトマックがAndroidアプリを開発する際の環境を考慮した作り込みをしていた点も優れていた。Eclipse(Androidアプリを開発する際に利用する統合開発環境)を使ってローカルで開発するようなことを、ネットワークの先につながっている端末に対してもできる、というところまで作り込まれている。NTTグループでも画面転送など作っていたが、開発者に合わせたところまできちんと作り込んでいるということで、カトマックとやっていこうとなった。