斬新なアイデアやイノベーションの創出は、通常の会議体からはなかなか生まれにくい。そこで議論する場所や進め方に工夫を凝らし、活発な話し合いを促すために設ける専用の場が「フューチャーセンター」だ。スウェーデンで生まれ、デンマークやオランダなどから全世界に広がっている。

 2013年6月26日に、「みなとみらい Innovation & Future Center」を開設した富士通エフサスで、同センターのディレクターを務める取締役執行役員常務コーポレート部門担当人財総務本部長である牛島正喜氏にその狙いや内容を聞いた。

(聞き手は、岡部 一詩=日経コンピュータ


「みなとみらい Innovation & Future Center」を開設するに至った経緯は。

富士通エフサス 取締役執行役員常務コーポレート部門担当人財総務本部長 牛島正喜氏
富士通エフサス 取締役執行役員常務コーポレート部門担当人財総務本部長 牛島正喜氏
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 自社向けの研修センターが古くなったので、新しい研修施設を設けようとしたのが直接的な契機です。ただ、フューチャーセンターという構想は以前からあり、研修施設を一新するタイミングで形にしました。

 「みなとみらい Innovation & Future Center」には、二つの側面があります。一つは人材育成施設としての側面です。もう一つはイノベーションを創出する場という側面です。

 当社は3年前に40代の社員向けにビジネスリーダー育成プログラムをスタートさせたり、2013年にはプロフェッショナル認定制度を開始したりするなど、人材育成に力を注いできました。

 一方で2年前には、次世代ビジネス企画ソリューション本部という組織を設立しました。農業、環境、医療、介護といった分野でITを使ってイノベーションを生み出せないかと、実験やトライアルを重ねています。

 こうした人材育成とイノベーションの実践という二つのテーマを加速させたいと考えていました。それを同時に実現する手段が、フューチャーセンターだったわけです。

具体的にはどのように活用しているのか。

「みなとみらい Innovation & Future Center」の入り口
「みなとみらい Innovation & Future Center」の入り口
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 まず一つは、社内の人材育成の場としての活用です。PCやサーバーなどをそろえているので、保守要員の訓練に使用していますし、新人研修も当センターで実施しています。ビジネスリーダーの育成研修でも使います。リーダーに一番必要なスキルは、イノベーションを実践する力ですから。

 もう一つは、イノベーションを生むための場としての活用です。当社や富士通グループ、パートナー企業などと、働き方の変革などについて話し合ったりします。

 顧客との対話にも使います。顧客企業におけるコミュニケーション基盤を今後どう発展させていくべきか、といった議題を当事者である顧客と議論したこともあります。