米Nutanixは、分散ファイルシステムを採用してサーバーとストレージを同時にスケールアウトできるようにした仮想サーバー環境基盤「Virtual Computing Platform」を開発する企業である(関連記事:「サーバークラスターは内蔵ディスクを使う分散FSで」、米NutanixのVP)。国内では、2012年から製品を出荷している(関連記事:日商エレ、分散FSを高速化したスケールアウト構成のVMware基盤)。同年、日本法人も設立した(関連記事:分散FSでスケールするVMwareサーバー機の米Nutanixが日本法人を設立)。2013年6月18日には、米国で新モデル「NX-1000」および「NX-6000」を発表し、ラインアップを拡充した。ITproは、同社CEOに、新モデルの意義と今後のロードマップを聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


6月18日に発表した新製品は。

米Nutanixで社長兼CEOを務めるDheeraj Pandey氏
米Nutanixで社長兼CEOを務めるDheeraj Pandey氏

 まず、Virtual Computing Platformは、仮想サーバー環境基盤のための物理PCサーバー機である。最大の特徴は、サーバー機が内蔵しているローカルストレージ(SSD/HDD)を用いて、サーバー間にまたがった分散ファイルシステムを構成できること。これにより、サーバー台数を増やすことで、CPU性能やストレージ容量を拡張できる。

 分散ファイルシステムのソフトは、1台の仮想サーバーにインストールされており、主に二つの機能を提供する。一つは、物理サーバー機の内部にある他の仮想サーバーから見て、ネットワークストレージとして機能すること。もう一つは、物理サーバー間をまたがったストレージプールを構成することだ。データの利用頻度に応じてストレージプール内でデータを移動させる自動階層化(ILM)の機能も備える。

 今回、既存モデルの「NX-2000」(2012年に出荷した初期モデル)と「NX-3000」(2013年に出荷したモデル)に加えて、二つの新モデルを追加した。ストレージ容量を重視した「NX-6000」と、性能などを抑えた廉価モデルの「NX-1000」である。いずれも米国で6月18日に発表し、同日販売を開始した。4~5週間後に出荷する。

 新モデルは、既存モデルと混在させた形で、互いにつないで利用できる。異なるモデル同士を一つのクラスターに所属させれば、モデル間にまたがった単一のストレージプールを構成できる。もちろん、複数のクラスターを作ってクラスター間でデータをレプリケーションする使い方もできる。運用管理画面も一元化しており、シングルペインで複数のモデルを混在させて管理できる。

新モデルを含めたラインアップ構成上の特徴は。

 特徴は、ソフトウエア技術で成り立っている製品ということだ。ハードウエアは単なるコモディティサーバー(2ソケットのx86サーバーとSSD/HDD)に過ぎない。ここで、スペックを抑えたハードウエアや、ストレージ容量に注力したハードウエアなど、性格が異なる各種のハードウエアを用意し、これらの上に同一のソフトウエアを乗せてラインアップを形成している。

 市場を見渡すと、他社の場合は、新モデルが出ると古いモデルは使えなくなり、リプレースしてしまうのが常である。ところが、米Nutanixの場合はソフトウエアに特徴があるので、古いモデルであっても、ソフトウエアをアップデートするだけで、新モデルとまったく同じように、新モデルと混在させて使い続けることができる。

大容量モデルのNX-6000の用途と特徴は。

 NX-6000は、NX-3000と比べて、1ノード当たりのCPU処理能力はそのままに、HDD容量を4倍に大容量化したモデルである。ただし、HDDの搭載数が増えたことで、2Uラックマウントに搭載できるノード数が2台へと半減している。このため、2Uラックマウント当たりの性能で見ると、CPU処理能力が2分の1に減り、HDD容量が2倍に増えている。

 NX-6000の用途は、大きく二つある。一つは、ビッグデータ分析などのように、単独でもストレージ容量を要求するケースである。もう一つは、すでにNX-3000などで構成しているクラスターに対し、主にストレージを拡張したいケースである。既存のクラスターにNX-6000を追加するだけで、クラスター全体で共有するストレージプールのサイズを拡大できる。