写真●Nutanix Complete Clusterの外観(きょう体3台、12ノード)
写真●Nutanix Complete Clusterの外観(きょう体3台、12ノード)
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 日商エレクトロニクスは2012年3月15日、ノードの追加によってストレージプールをスケールアウトできるアプライアンス「Nutanix Complete Cluster」(写真1)を出荷した。SANやNASのように複数機器間で単一のストレージプールを共有しながら、SANやNASよりも高速にデータにアクセスできる。VMware仮想サーバー環境においてストレージ性能を高めたいケースに向く。価格は、最小構成(3ノード)で1656万円(税別)。開発会社は、米Nutanix。

 Nutanix Complete Clusterは、VMware仮想サーバー環境向けのx86プラットフォームを採用したアプライアンスである。最大の特徴は、独自の分散ファイルシステム「NDFS」を利用することによって、複数のアプライアンス(ノード)が内蔵しているローカルストレージをまたいで単一のストレージプールを作成する点である。ストレージプールは、各ノード上で動作しているすべてのVM(仮想サーバー機)から透過的に利用できるため、VMware vMotionによる仮想サーバーのライブマイグレーションなどを利用できる。

 すべてのノードは、アクセス性能が異なる3種類のストレージを内蔵する。アクセス性能が高い順に、(1)PCI Express接続型の半導体ストレージ「ioDrive 320GB」(米Fusion-io製、容量は320Gバイト)、(2)SATA接続型のSSD(容量は300Gバイト)、(3)SATA接続型のHDD(容量は1Tバイト×5台)---、である。これら3種類のストレージすべてが単一のストレージプールを形成する。自動階層化機能を備えており、アクセス頻度が高いデータほど、より高速なストレージに格納される。

 3種類のストレージのうち、ioDriveは、キャッシュ機能を兼ねる。これにより、ネットワークを介した分散ファイルシステムでありながら、ローカルストレージと同様に、高速にデータにアクセスできる。例えば、VM(仮想サーバー)からの最終的なデータの書き込み先が他ノード上のストレージになるケースでも、ローカルの半導体ストレージに書き込んだ時点で、VMの書き込み処理が完了する。

 ストレージ以外の主なスペックは、以下の通り。アプライアンスのきょう体は、2Uラックマウント型。1台のきょう体に、4台のノードを搭載する。1ノード当たりのスペックは、CPUが6コアXeon 5640(2.66GHz)×2、メモリーが48Gバイト(最大192Gバイト)。ネットワークは10GbE×1および1GbE×2。搭載するハイパーバイザはVMware vSphere 5/ESXi。ノードごとに、上述した3種類のストレージを搭載する。

 なお、分散ファイルシステムによって作られるストレージプールは、一般的にストレージに求められる機能を、一通り備えている。現時点で、シンプロビジョニング(ボリューム容量仮想化)、スナップショット/クローン、自動階層化(ILM)を利用できる。今後、データ圧縮、重複排除、データ暗号化の機能を実装する予定である。また、分散ファイルシステムでは、複数のノードにデータがコピーされるため、ノードが故障した際にもデータにアクセスできるなど、可用性が高い。

■変更履歴
当初は、最後から遡って2段落目でメモリー容量について「最大192Mバイト」としていましたが、正しくは「最大192Gバイト」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/03/16 12:45]