IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)構築ソフトの「Nimbula Director」を開発する米ニンビュラは、米アマゾン・ドット・コムで「Amazon EC2」の開発に従事したクリス・ピンクハム氏らが起業したベンチャーだ。日本では5月に、ネットワールドがNimbula Directorの販売を開始した。ニンビュラCEO(最高経営責任者)のクリス・ピンクハム氏は、「アマゾンが先駆者であるAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を駆使した高度な運用自動化が、実現できるようになる」と語る。

(聞き手は中田 敦=日経コンピュータ


以前は、Amazon EC2の開発に従事していたとか。

米ニンビュラ CEO(最高経営責任者) クリス・ピンクハム氏
米ニンビュラ CEO(最高経営責任者) クリス・ピンクハム氏

 私は10年前にアマゾンに入社して、ネットワーク設計を担当していた。

 当時アマゾンでは、各サービス部門がアプリケーションソフトウエアを開発していた。サービス部門は、アプリケーションに必要なインフラをインフラ部門に管理してもらうのではなく、自分たちでコントロールしたいと考えていた。そこで、アマゾンの各サービス部門が、管理用API経由でネットワークポリシーを制御できるインフラを設計した。

 このようなインフラを開発すると、これが(当時から外部顧客向けに各種Webサービスを提供していた)「Amazon Web Services」と同じアイデアであることに気がついた。そこで、アマゾンの社内インフラ用に作ったソフトを利用して、外部顧客にインフラサービスを提供しようということになった。これが「Amazon EC2」などのそもそもの始まりだ。

 私が、Amazon EC2などの開発を始めたのは、2004年のことだ。南アフリカ・ケープタウンの開発チームがAPIなどを開発して、2006年にAmazon EC2のサービスが始まった。私がアマゾンを離れたのは、ちょうどその頃だ。他のデータセンター運営企業が、アマゾンと同じようなデータセンター運用ができるソフトを提供しようと考え、Amazon EC2の他の開発者などと一緒に、ニンビュラを起業した。

いわゆる仮想化ソフトと、Nimbula Directorの一番の違いは何か?

 アマゾンが先駆者だった、APIドリブンマネジメント(APIを駆使した運用管理の自動化)が実現できることだ。

 仮想化のメリットとして、ハードウエアを集約(コンソリデーション)できることを挙げる人は多い。我々はコンソリデーションよりも、仮想化によって運用管理の自動化が容易になることが重要だと考えている。

 なぜなら今、企業が運用するソフトの規模は、単一のサーバーでは収まらないものになりつつあるからだ。今後、より多くの企業が、大量のサーバーを連携する分散アプリケーションを使用するようになるだろう。このような企業では、運用管理の自動化が大きな課題になる。

 Nimbula Directorのコンセプトは、アプリケーションが使用するプロセッサコアが何千コアになっても、ユーザー数が何千ユーザーになっても、拡張可能で、コントロールができるインフラ環境を提供することだ。そのためには、セキュリティ管理が重要になる。