データセンター大手エクイニクスが日本市場でのビジネス拡大に力を入れ始めた。同社は世界35都市に90のデータセンターを持ち、ホスティングサービスやアウトソーシングサービスは提供せず、コロケーションサービスに特化する。その戦略を社長兼CEOである、ステファン・M・スミス氏に聞いた。

(聞き手は福田 崇男=日経コンピュータ



米エクイニクス 社長兼CEO(最高経営責任者) ステファン・M・スミス氏
米エクイニクス 社長兼CEO(最高経営責任者) ステファン・M・スミス氏

日本市場をどのように分析しているか?

 日本は北米に次ぐ2番目の市場だ。特に、東京には投資し続けなければならないと考えている。日本企業からは高いサービス品質を求められることが多いが、当社のデータセンター運用プロセスやサービスは、それに十分応えられると考えている。

 また日本企業が力を入れ始めている、海外市場への進出も支援する。当社の強みはグローバルでデータセンターを運営していることだ。世界の主要な都市で、同品質のデータセンターサービスを提供できる。

日本のIT企業も海外でのデータセンターサービス提供を始めているが?

 日本のIT企業とは競合する場合もあるが、提携する場合もある。あるIT企業のデータセンターは、実は当社が運営しているもので、そのIT企業に貸し出しているといったケースは少なくない。

 現在は、データセンターサービスのニーズは世界どこでも非常に強い。競合他社を含め、皆が勝者になれる状況だ。需要が“2”ならば供給は“1”と、サービスの提供のほうが追いついていない。海外の案件で日本のIT企業と競合することはほとんどない。

なせコロケーションサービスに特化しているのか?

 顧客企業からの要望が多いからだ。時々、クラウドサービスやアウトソーシングサービスを提供してほしいと言われることがある。ただ当社はシンプルなビジネスモデルを貫く。企業活動やクラウドサービスを支える基盤を提供していきたい。

日本企業はリーマンショック以降、IT投資には消極的だ

 景気が停滞していることは理解している。ただ当社が提供するデータセンターサービスを利用することは、企業にとってはITコストの削減にもつながる。日本市場でも勝算はあると考えている。

 現在東京では二つのデータセンターを運用している。2011年の夏には、三つめのデータセンターを稼働させる予定だ。日本法人の人員も増やし、24時間365日体制で対応できるようにする。