中国・上海に本社を置く普華基礎軟件(iSOFT INFRASTRUCTURE SOFTWARE)は、2008年10月に設立したソフト開発会社である。中国国務院下の国有企業である中国電子科技集団のグループ企業として、OSやミドルウエアなど基盤ソフトの開発などを手掛ける。日本では、ターボリナックスグループのシステムインテグレータ、ターボシステムズの親会社としても知られる。普華基礎軟件の趙 暁亮総経理に話を聞いた。

(聞き手は中井 奨=日経コンピュータ

写真●普華基礎軟件 総経理の趙 暁亮氏
写真●普華基礎軟件 総経理の趙 暁亮氏

普華基礎軟件の特徴や強みは何か。

 主に三つの分野の事業を展開している。一つは、データベースをはじめとするミドルウエアやOS、仮想化環境といったインフラ関連ソフトの開発・提供だ。Linux OSのベンダーやデータベースソフトを開発するベンダーを傘下に抱えている。

 二つめは、組み込み系ソフト開発だ。自動車などの組み込み系ソフトの基盤部分の開発を得意としている。もう一つは、セキュリティ関連システムの開発だ。

 現在は、単体のソフトウエア製品だけでなく、OSやミドルウエア、仮想化技術、セキュリティ対策などを組み合わせた統合的なプラットフォームを開発、提供することに注力している。クラウドコンピューティング環境を構築する企業を中心に、統合的なプラットフォームを提供していくつもりだ。

ターボシステムズの株式51%を所有している。日本市場への関心は。

 ターボシステムズに資本参加した経緯について話そう。ターボシステムズの親会社のターボリナックスはLinux OSを提供するベンダーとしてのブランド力がある。中国市場でも知名度がある。我々はこの点に魅力を感じた。

 ターボシステムズは、システム開発面で優れた技術力を持っていると評価している。当社とターボシステムズが力を合わせれば、顧客により良いシステムやサービスを提供できるはずだ。もちろん、我々のサービスをターボシステムズを通じて日本市場に展開したいという狙いもある。

ターボシステムズとの協業の現状は。

 我々は経営に参画しているが、我々が必ずしもコントロールしているわけではない。ターボシステムズが独自展開することを尊重している。ただし、今後成長していくには、新しいビジネスモデルを構築していく必要があるだろう。

 クラウドコンピューティング向けの基盤を開発する事業に注力するのはその一つだ。ただ、ターボシステムズの人員が少ないため、対応できるシステム開発案件に限りがあった。我々はターボシステムズが成長するために、支援を惜しまないつもりだ。

今後、別の日本企業に対してM&A(合併・買収)を実行する可能性はあるか。

 直近では具体的なM&Aの予定はない。今はターボシステムズの成長が大きな目的だ。ただし、将来的に新たな機会が出てくる可能性は否定しない。