日本法人のCDC Software ジャパンは2010年6月22日、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型のSCM(サプライチェーン・マネジメント)ソフト「CDC TradeBeam」を発表した。米CDC Softwareのピーター・イップCEO(最高経営責任者)は「SaaSであれば中小規模の企業が利用しやすい」とメリットを説明。「今後も買収を続けて、クラウドサービスを拡充していく」と語る。

(聞き手は中井 奨=日経コンピュータ

写真●米CDC SoftwareのCEO、ピーター・イップ氏
写真●米CDC SoftwareのCEO、ピーター・イップ氏

CDC TradeBeamの特徴は。

 CDC TradeBeamはSaaS型の国際貿易財務管理システムである。自動車や医薬品などの製造会社が海外のサプライヤから部品や原材料を調達する際に、配送注文や輸送、在庫の管理などを支援する。国際貿易に必要な輸出入プロセスやコンプライアンス要件に対応している。

 SaaSなので導入しやすいのが特徴だ。サプライヤは中小規模の企業が多い。当社のサービスであれば、初期投資を抑え、必要に応じて利用できる。世界100カ国で1000社以上が利用しており、英語、日本語、中国語など30カ国以上に対応している。

 元はCDC Softwareが5月に買収したカナダのSaaSベンダー、TradeBeamが提供していたサービスだ。日本では2010年末に提供を開始し、初年度に50社への販売を目標としている。

SaaS事業者の買収を今後も続けるのか。

 SCM以外の業務システムを提供するSaaS事業者も今後買収して、クラウドサービスを拡充していく。理由は明確だ。既にサービスを提供しユーザーを抱えるSaaSを買収するほうが、金額的にも時間的にもメリットは大きい。

 SaaS型のサービスを開始するためには、開発に巨額の投資と必要になる。既存パッケージをSaaS化するのも、そんなに容易ではない。

 買収だけでなく、大手ITベンダーとの協業も進める。例えば、マイクロソフトのWindows Azure上でSaaS型のクレーム管理システムを開発している。

中国市場に可能性を感じる

グローバルでのSaaS提供の計画は。

 特に注目しているのは中国市場だ。中国には、製造会社と取り引きするサプライヤの数が圧倒的に多い。各社は欧米や日本の大手製造企業に対して部品や原材料を提供している。

 中国のサプライヤを新規顧客として獲得できれば、CDC TradeBeamのユーザー数は飛躍的に伸びる。今後1年半で2000社を容易に超えるだろう。

 クラウドサービス強化のために買収戦略を進めているのは、中国市場の可能性を感じていることも理由の一つだ。

既存のパッケージ製品は、今後どうするのか。

 当社はERP(統合基幹業務システム)パッケージ「Ross ERP」やCRM(顧客情報管理)ソフト「Pivotal CRM」を販売しており、グローバルで8000社以上の顧客を抱えている。

 もちろん、これらのパッケージソフトの提供は続けていく。ただ、これからは既存のユーザーに対して、SaaSの利用を提案していく。オンプレミス(ユーザー企業の自社設置)のシステムと、SaaSのCDC TradeBeamを連携させて活用することも提案していく。