米アルバ ネットワークスは、データセンターや本社のセンター拠点からブランチオフィスを一括管理できるソリューションを提供している。2010年3月には、クラウド型サービスを取り入れた新たなソリューション「VBN 2.0」を発表した。これによりブランチネットワークはどう変わるのか。ヒテシュ・シェスCOO(最高執行責任者)に聞いた。(聞き手は、高橋 健太郎=日経コミュニケーション)

現在のブランチオフィスが抱える課題は何か?
従来は、各拠点ごとに独立したネットワークを構築し、それらをルーターやVPN技術を使って本社につなぐという手法が一般的だった。このため、ルーターやファイアウォール、認証サーバーも拠点ごとに必要だった。また、運用・管理もその数だけ個別に必要なため、コストや手間がかかっていた。
そうした問題を解決するため、当社は「Virtual Branch Networking」(VBN)というソリューションを2009年6月から提供している。VBNでは、複雑な処理はデータセンターあるいは本社に置くコントローラに集約し、各拠点にはシンプルな「リモート・アクセスポイント」(RAP)と呼ぶ装置を置くだけでよい。
RAPは、コントローラとの間にIPsecのトンネルを自動的に確立し、そこを通して必要な設定情報などを自動的にダウンロードする。こうした仕組みにより、ブランチオフィスのネットワークの複雑さを省き、コストを低減できるようになる。
さらに2010年4月に、このソリューションにクラウド型サービスを追加した「VBN 2.0」の提供を始める。
初期コストを最大60%、運用コストを最大75%削減できる
VBN 2.0とは何か?
コンテンツセキュリティ機能とWAN高速化機能のクラウド型サービスと、従来のVBNソリューションをセットにして、当社が提供するものだ。
従来のVBNソリューションでは、コンテンツセキュリティとWAN高速化といった機能を追加するためにはRAP以外に別の装置を導入する必要があり、ブランチオフィスの複雑さを取り除くという従来からの課題を解決する妨げになっていた。VBN 2.0は、これらの機能をクラウド型サービスで実現するため、ブランチオフィスにはRAPだけを置くだけで済む。
今回のVBN 2.0を導入することで、当社の試算では初期コストを最大60%、運用コストは最大75%削減できると見ている。従来型のブランチネットワーク、ブランチ向けのルーター製品は時代遅れになっていくだろう。
どのような仕組みでクラウド型サービスを実現しているのか。
WAN高速化機能を例に説明しよう。一般的なWAN高速化装置は、装置自体が内蔵するハードディスクにデータをキャッシュすることで高速化を図っている。この方法では、各拠点に置く装置が高価になる。
一方、当社のサービスでは、コンテンツデリバリー・ネットワーク(CDN)上にキャッシュサーバーを用意し、各拠点のRAPがやり取りするデータをキャッシュすることで高速化している。
キャッシュサーバーはどこに置いているのか。
当社は、世界中で30カ所のデータセンターにキャッシュサーバーを配置し、どこからでもサービスを利用できるようにしている。今後は、日本国内にもキャッシュサーバーを置くことを検討している。