
「マインドマップは,プロジェクト型の仕事との相性がとてもいい」。マインドジェットの渡邉安夫氏(プロダクトマネージメント部長)は,こう語る。同社はマインドマップ描画ソフト「MindManager」を開発・販売。特にプロジェクトでのマインドマップ利用を進めている。マインドマップをプロジェクトで活用するとどんなメリットがあるのか,そのポイントと効果について聞いた。
マインドマップはなぜプロジェクト型の仕事に向いているのですか。
中心に主題を書き,ブランチ(枝)に沿って話題を配置していくマインドマップは,情報の一覧性が高い。どんな情報があるのかを直感的に把握できます。こうした構造を持つマインドマップは,プロジェクトのメンバーに情報を伝達するメディアとして大変適しています。
プロジェクトでは最初,目的や体制などを周知させることが大切です。また,プロジェクトが進むと,メンバーに伝達したい情報が増えてきます。進捗状況はもちろん,成果物であるドキュメント,体制の変更などです。マインドマップを使うと,そのような情報,あるいは情報の所在を簡単に表現できます。上から順に文章を書いていく通常の形態よりも伝わりやすいといえます。
マインドジェットではマインドマップのソフト「MindManager」を販売していますが,プロジェクト型の仕事に向けてどんな機能を提供しているのですか。
一つが,自動スケジュール算出機能です。マインドマップにタスクを書き込む際,期限を設定します。すると,現在の日時をもとに残りの所要時間を計算したり,締め切りが近づいてきたタスクを目立つ色で表示し作業を促したりします。
Officeソフトとの連携機能も備えています。Microsoft Excelで作成したプロジェクト情報の表やグラフをマインドマップ内に表示できます。また,マインドマップからプロジェクトの各種ドキュメントにアクセスしやすくする機能を付与しました。プロジェクト・メンバーで共有したいファイルの一覧をブランチとして登録すると,それぞれのファイルを1クリックで開くことができます。
中小規模のプロジェクトや短期のプロジェクトでは,メールで情報共有を済ませようとするケースがまだ一般的です。大量のメールがやりとりされる中,重要な情報が埋もれてしまったり,添付されたドキュメントのどれが最新なのかが分からなくなって混乱したりします。「このマインドマップを開けば,いつでも最新の情報を確認できる」という決まりにすれば,こうした混乱を少なくできるはずです。
マインドマップはプロジェクトの生産性にどの程度寄与しているのでしょうか。
本社の米MindJetが2007年から2008年にかけて,あるユーザー企業でマインドマップおよびMindManagerの効果について調査をしました。その企業に所属する1800人にアンケート調査したところ,プロジェクトのタスク管理業務や情報共有業務に費やしていた時間の合計が,1週間当たり1万551時間だったそうです。
そこでMindManagerを使い始めたところ,2008年の第1四半期には3672時間減り,6879時間になりました。実にマインドマップ導入前の約65%まで減ったことになります。
この数字は,あくまで企業単体の調査結果なので,マインドマップの効果を一般化して語ることは難しいかもしれません。ただ,私自身がマインドマップを使って生産性を高めてきた体験を含めて考えると,妥当な調査結果だと受けとめています。