写真●米テラデータのスティーブン・ブロブストCTO
写真●米テラデータのスティーブン・ブロブストCTO
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「テラデータのデータウエアハウス(DWH)がオラクルの新製品に性能で負けているということはない」。米テラデータでCTOを務めるスティーブン・ブロブスト氏は、米オラクルが今年9月に発表したデータ処理専用機「HP Oracle Database Machine」と自社製品を比較してこのように述べた(関連記事)。オラクルは製品発表の際、他社の競合製品と性能を比較し自社製品の優位を強調したが、これについて「パワーポイントには何でも書ける。マーケティング担当者の言葉はまゆつば」と切り捨てた。

オラクルは新製品が多くの点でテラデータを上回っていると発表した。それについての感想は。

 マーケティング担当者の使う言葉はまゆつばだ。ただ大風呂敷を広げているだけだ。私はエンジニアなので、現実がオラクルの発表とは異なることがはっきりと分かっている。テラデータのデータウエアハウスは、オラクルの新製品には絶対に負けていない。

 「HP Oracle Database Machine」はヒューレット・パッカード製サーバーにオラクルのデータベースソフトが搭載されている。下のレイヤーではHPのサーバーを相互接続してMPP(超並列処理)に対応する形を採っているが、上に載っているのは従来のスケーラビリティの乏しいオラクル製品のままだ。これではオラクルのレイテンシが大きすぎる。テラデータ製品のようにMPPをうたっているが、オラクルの超並列処理の仕組みは「MPP wanna be(MPPになりたがっている)」に過ぎない。

オラクルがこのタイミングで新製品を投入した狙いは何だと思うか。

 製品開発の時間を稼ぐのが狙いだ。オラクルは最近、データベースの市場シェアをどんどん落としている。それに歯止めをかけたいはずだ。オラクルの影響力は大きいので、オラクルが新製品を出したとなると、興味を持つユーザーは18カ月くらいかけて製品を試すことになるだろう。その期間が経過して初めて、「この製品では求めている性能が出せない」といったことを理解することになる。オラクルはそれを分かった上で、時間を稼ぐために新製品を投入し、その間に製品開発の遅れを挽回する作戦だろう。

 オラクル製品がすべて悪いと言っている訳ではない。オラクルはOLTP(オンライントランザクション処理)の分野では1番だ。小規模のトランザクションを、大量に同時に処理することに関しては、マイクロソフトもIBMもかなわない。それは認める。私はテラデータのCTOだが、OLTPにテラデータ製品を薦めることはしない。

では、テラデータの優位性は何か。

 テラデータはオラクルとは違い、分析用エンジンとして最も優れている製品だ。ある製品が、すべてにおいてベストということはあり得ない。オラクルとテラデータは土俵が違うのだ。

 データウエアハウスと一般的なデータベースには大きく3つの違いがある。オプティマイザとファイルシステム、ワークロード管理の機能だ。特にワークロード管理の機能はOLTPでは関係しない機能だ。データウエアハウスの場合、処理に時間のかかるクエリーや素早く回答する必要があるクエリーなどを適切な順番で処理することが求められる。テラデータ製品はデータウエアハウスに最適なワークロード管理機能を持っている。