写真1●米オラクルのラリー・エリソンCEO
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写真2●「HP Oracle Database Machine」を自信ありげに紹介
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写真3●HPのマーク・ハードCEO兼社長はテレビ会議で出演した
写真3●HPのマーク・ハードCEO兼社長はテレビ会議で出演した
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 「“X”is coming」──9月21~25日にサンフランシスコで開催中の米オラクルのカンファレンス「Oracle OpenWorld」では、初日から思わせぶりな告知が目立っていた。明かされるのはラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)の基調講演が行われる9月24日。基調講演のタイトルはExtreme Performance(極端なパフォーマンス)。いったい何が登場するのか。期待を込めた来場者で会場は立ち見が出るほどだった。

 まず登壇したのは米HP(ヒューレット・パッカード)のテクノロジ・ソリューション・グループでエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるアン・リバーモア氏。「オラクルとは1991年から提携しており、長年のパートナー。これ以上の組み合わせはない」と語る一方で、データセンターが直面するデータ量の問題を指摘。

 「データセンターが扱うコンテンツの量は1年半ごとに倍増している。リアルタイムで扱う情報量が増えると、さらに増加のペースが上がる。一方でデータセンターの担当者は上からコスト削減を要求されている。セキュリティへの配慮も必要だ。レガシーな仕組みのままでは対応できない。データセンターを変革する必要性に迫られている」(リバーモア氏)。

 会場に問題意識を持たせつつ、エリソンCEOがヨットのビデオの後に登場(写真1)。リバーモア氏の講演を受け、「データ量は爆発的に増加している。対策は二つしかない。パイプを通るデータの量を減らすか、パイプをもっと太くするかだ」(エリソンCEO)。

 今回同社が選んだのは後者。まず紹介したのは、データ処理用のストレージ・サーバー「Oracle Exadata Storage Server」。HPのProLiant DL180 G5サーバーに、OSとしてOracle Enterprise Linux、ソフトとしてOracle Exadata Storage Server Software 11gやOracle Database 11g Enterprise Editionを搭載。12ドライブに最大12テラバイトのデータを格納できる。エリソンCEOはストレージ・サーバー側に“インテリジェンス”を持たせて問い合わせを効率化した点や、二つのInfiniBandを使って処理効率を高めた点を強調した。現在はLinuxだけだが、「将来的にOracle Databaseが動くすべてのOSに対応する」(エリソンCEO)。

 これが“X”なのかと会場が思った瞬間、本物が登場した。データ処理専用機「HP Oracle Database Machine」である(写真2)。HP Oracle Database Machineは最大8台のデータベース(DB)サーバー「Oracle Database Server」と、最大14台のデータ処理用ストレージ・サーバー「Oracle Exadata Storage Server」で構成。一つのラック(42U)に最大168テラバイトのデータを格納し、DBへの問い合わせ処理を並行して実行する。「既存の環境と比べ、10倍から72倍の処理性能を達成できる」(エリソンCEO)。

 当初、エリソンCEOの基調講演に登壇するはずだったHPのマーク・ハードCEO兼社長はテレビ会議で出演(写真3)。「Database Machineこそ、まさに顧客が求めていたものだ。二つの会社のベストの部分を合わせてできた」と語った。

 オラクルがあえてハードウエアを投入したのは、クラウド・コンピューティング環境の台頭も視野に入れているとみられる。オラクル関係者は「中で使われている技術はOracle Database 10gの時代からあるもので完成度は高い」と話す。米国では、エリソンCEOの基調講演と同日の9月24日に出荷を開始。システム価格は65万ドル(約6800万円)、1テラバイトあたりの価格は4000ドル(同420万円)という。日本での販売時期は未定だ。