
紺野 秀之 部長
東京都の総務局情報システム部では、今年7月から都庁のIT関連のCO2削減に積極的に取り組み始めた。情報システム部の紺野秀之部長に都庁のIT分野におけるカーボンマイナスの取り組みについて聞いた。
IT部門としてC02削減を打ち出した背景は?
都では「カーボンマイナス東京10年プロジェクト」として積極的にCO2削減の施策を推進している。今年6月には大規模事業所の二酸化炭素(CO2)削減を義務付ける環境確保条例の改正も行った。都庁のオフィスでも率先してCO2削減を進めていきたい。現在、都庁の本庁舎だけで年間約5200万kWhの電力を使用している。大まかな計算ではあるが、このうちIT関連だけで約350万kWhを使っており、都庁の電力消費量の約7%近くを占めていることになる。当然、対策を打つ必要がある。
350万kWhの内訳は?
情報システム部門が管理しているシステムのサーバーや汎用機、ネットワーク、職員のノートパソコン端末約3万台などだ。他の部署が管理しているシステムなどは含めていないので実際のIT関連の電力消費はもっと多いだろう。具体的な目標・対策は?
数値目標はITの電力消費の実態を精査しながら詰めていきたい。システム関連については、主に3つの対策を考えている。まず、汎用機をサーバーに切り替える。これで約30万kWhの削減が可能となる。既に都の基幹系システムのほとんどは汎用機を使っていないが、まだ、人事システム、給与システムで2台の汎用機を使っている。来年度にはこれをサーバーに切り替える予定だ。2つ目に、現在のサーバーを更新時期に合わせて省エネ型の機種に変更していく。3つ目の対策としては、サーバー室の空調の最適配置の検討を行う。効率的に冷気が流れるようにすることによって電力量を削減できる可能性がある。
ハード面以外での対策は?
職員の意識を高めるための活動として、7月7日から「TAIMS(都庁のパソコンネットワーク)における省エネ率先行動」を呼びかけている。離席時におけるノートPC端末のふた閉め行動や、プリントアウト削減について、全庁職員に協力依頼を行った(図)。
職員が使うノートパソコン端末は通常23Wの電力を消費しているが、フタを閉めるとスタンバイ状態となり消費電力を1W以下に抑えることができる。また、A4の紙1枚の削減でC02約5gの削減効果があることを職員に訴えた。7月23日には、各局の情報化推進担当者、システム担当者などを集めて、「グリーンIT」をテーマに専門家による講演会も実施する(取材日は7月16日、関連記事)。