セミナーの様子。席はほとんど埋まっており「グリーンIT」への関心の高さがうかがえる。
セミナーの様子。席はほとんど埋まっており「グリーンIT」への関心の高さがうかがえる。
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 東京都は7月23日、グリーンITをテーマとした職員向けのセミナーを都庁第2本庁舎ホールで開催した。主催したのは都の総務局情報システム部。主な受講対象者は各局の情報化推進担当者、システム担当者およ施設設備担当者。都内市区町村にも参加を呼びかけ、都庁職員約100人、市区町村職員約30人が参加した。

 セミナーでは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)産学官連携部参事の藤本昌彦氏(前・総務省情報通信政策局情報流通振興課情報流通高度化推進室長)と、東京大学大学院工学系研究科准教授の松野泰也氏が講演を行った。

 藤本氏は、今年7月に総務省が公表した「地球温暖化問題への対応に向けたICT政策に関する研究会」報告書のポイントや、ITUが検討しているICT自身の省エネについての国際標準化の動向など、ICTとCO2排出削減に関連する最新の話題を解説した。
 
 松野氏の講演では、まず地球温暖化の動向について、CO2との因果関係に疑問を呈する説も含めて紹介。併せて、IT機器の消費電力の急増は将来の電力安定供給に影響を与えること、電力を削減すればコスト削減に直結することなどを説明し、「(もしCO2と地球温暖化が無関係だとしても)ITユーザー、IT製造者、電力会社、政策担当者など、グリーンITはだれにとってもメリットがある」と、グリーンIT推進の有効性を強調した。

 都の情報システム部は、今年度からグリーンITに本格的に取り組み始めている。省電力型のIT機器の選定の検討といったシステム部門としての対策のほか、7月からは全庁職員に対して、ノートパソコン端末のシステムスタンバイの励行など省エネに向けた行動を呼びかけている。今回のセミナーは、CO2排出削減とITの関係について、職員の理解と意識向上を目的として開催された。