左からジュディ・シリエール氏、木村真理子氏、パム・フエシュコ氏
左からジュディ・シリエール氏、木村真理子氏、パム・フエシュコ氏
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全世界の約2500社が参加するアバイアのユーザー会「InAAU(International Alliance of Avaya Users)」が11月中旬、日本支部を発足させた。地域ユーザー会の設置は、日本が初めてという。支部発足に合わせて来日したInAAUのパム・フエシュコCMO(最高マーケティング責任者)とジュディ・シリエールCTO(最高技術責任者)に、活発といわれるInAAUの活動内容や日本支部の設立背景などを聞いた。(聞き手は菊池 隆裕=日経コンピュータ

アバイア・ユーザー会は、ほかのITユーザー会と比較して何が違うのでしょうか。

 メーカーから全く独立した組織である点である。教育や啓蒙活動に必要な資料の提供は受けるが、資金的な援助は一切ないので、自由に発言できる。
最近力を入れているのが、教育と啓蒙活動である。特にメンバーの教育には力を入れている。具体的な活動には、年次総会やWebinar(オンライン上のセミナー)、メンバー同士のピア・ツー・ピアのネットワーキングがある。
 このほかに月刊の出版物も発行している。現在は英語版のみだが、他国語にも翻訳する方向で調整中だ。

ユーザー会の成果として、具体的にどのようなものがありますか。


 コンタクト・センター向け製品でいうと、過去3年間で約50件の改善項目が、ユーザー会からの提案によるものである。例えば、着信した通話をどこでどれだけ滞留しどこに転送したのかを記録するPBXの「ベクター・プログラミング」に、コメントラインを追加するといった改善は、ユーザー会の声を反映したものである。
 ユーザー会では、「フューチャー・ニーズ・プロセス」と呼んでいるが、会員の声を集約して分類・格付けしてベンダーに渡すことで、次の製品で機能を追加してもらう。多くの声を集約することで、共通の要求を明確にするのが目的である。全ユーザーのうち、何%が望んでいるということで説得材料になる。あるユーザーが、「自分の声が届かない」といったときには、代わって説明することもある。

最近の要求にどのような傾向があるでしょう。


 技術はできるだけ語らないで、「問題をどう解決できるのか」をしてくれという話をよく聞いている。

ユーザー会の責任者として活動に必要な時間は、どうやってやりくりしていますか。


 私たちはそれぞれ大学や企業に所属しているが、いずれもユーザー会の活動には多くの時間を使っている。所属組織には、IT系の技術が得られる、個人の能力を開発できる、製品のベータ版を活用できるという点を説明し理解を得ている。

日本支部は何をするのでしょうか。


 例えば、ベスト・プラクティスを考えた場合、米国のやり方が主流ではないかもしれない。地域ごとに声を出す機会が必要で、それが支部である。参加する企業はグローバルな企業が多いので、支部活動は、欧州、南アメリカ、カリブ諸国などにも広げたいと考えている。

1ユーザーとして、今後注目したい技術にはどのようなものがありますか。


 SIP(session initiation protocol)やプレゼンスをうまく活用したい。コンタクト・センターで転送する際に、在席情報を使うようなケースである。業務効率化につながるだろう。