米フォーティネットはUTM(unified threat management,統合脅威管理)製品のトップベンダー。UTMとは,ファイアウオールやVPN(仮想閉域網),ウイルス/迷惑メール対策,URLフィルタリング,IPS(侵入防止システム)といったゲートウエイに必要な機能を統合した製品のことだ。同社の日本法人であるフォーティネットジャパンの岡本吉光代表取締役社長に同社の戦略を聞いた。
セキュリティ機器の市場の現状をどう見ているか。
![]() フォーティネットジャパンの岡本吉光代表取締役社長 [画像のクリックで拡大表示] |
最もベストな製品を組み合わせる方がいいというメッセージを出しているベンダーもある。
ファイアウオールやウイルス/迷惑メール対策など,UTMで提供している機能は技術的にかなり成熟してきた。個々の機能の製品に比べて,機能的な差はそれほどないはずだ。たとえ差があったとしても,時間がたつにつれ差はどんどんなくなっていく。我々は自分たちですべてを提供しているため,安く提供することが可能だ。
UTMは中小企業のためのもので,大企業には向かないという議論もある。
これまでパフォーマンスの問題などから,大企業はそれぞれの機能ごとに専用のサーバーを構築する手法が採られてきた。しかし,大企業でもセキュリティ装置が多すぎて管理に困っている。大企業にもUTMの波が訪れるのは必然だ。既に我々は大企業で使える高性能で冗長性の高い装置を提供している。
今後の戦略は。
特に注力したいのは,官公庁と通信事業者などが提供するセキュリティ・マネージド・サービスだ。官公庁では,統合的なセキュリティ対策が求められており,今後UTMの需要が伸びると見ている。また,通信事業者が企業にセキュリティ対策まで含めて提供するセキュリティ・マネージド・サービスでは,これまで提供してきたファイアウオール,VPNの一括提供サービスの次が求められている。ウイルス/迷惑メール対策やURLフィルタリングなどを提供できるUTMはこの要求を満たせる。既に,KDDIやNTTコミュニケーションズがフォーティネットの製品を使ってサービスを開始している。
このほか,POS(販売時点管理)システム,工作機械のネットワークなどにUTMの導入を働きかけていく。現在,専用機器の多くがOSとしてWindows Embeddedを採用している。Windows Embeddedは最新パッチを適用するのが困難な上,ウイルス対策ソフトを動かせない。こうした機器の前にUTMを設置することで,セキュリティを確保できる。そのために,レイヤー2スイッチとUTMを統合した「FortiGate-224B」という製品を1月に投入した。