「スパコンの新ベンチマークはなぜ必要か?」という記事の一節が目に飛び込んできました。以下に引用します。

 「まず、歴史的な蓄積という意味で、1977年以来40年近い歴史があるLINPACKベンチマーク、1993年以来20年以上続いたTOP500ランキングは引き続き重要だ。

 だが、TOP500の開始から20年以上が経つうちに、LINPACKベンチマークの結果と実際のアプリケーションの性能に大きな乖離が生じてしまった」

 ベンチマークの結果が処理性能を示したものではなくなったということでしょう。スパコンの世界ランキングであるTOP500創始者から飛び出した言葉ですから、重みがあります。

 サーバーやデータベースの処理性能に関するベンチマークについては以前から、実用性についての疑問が指摘されていました。使う側にとっては手段にすぎないベンチマークが、ITを提供する側にとっての目的になった結果と言うべきかもしれせん。

 手段でも目的でもなく、「ベンチマークはアートだ」という言葉を、あるIT会社の方から聞いたことがあります。企業での実運用を前提にするのではなく、考えられ得るすべての手を使って、ベンチマークの値を高める作業を「アート」、つまり芸術だと表現したのです。

 今のベンチマークを手段というべきか、目的と表現すべきか、私の中に結論はありません。ただ、ベンチマークの結果を改善させる作業に取り組む技術者から飛び出したアートという言葉には、説得力を感じます。