今回は、本社からのトレーニー派遣生を含む若手層(およそ25~30歳)の赴任者の育成方法について触れていきたい。

 語学力(英語力)、現地浸透力(現地へ溶け込むマインド、スキル)、多様性理解力など、多くの点において、内定者や新人が必要なものと重なるものが多い(前回の記事を参照)。だが、こうした要素がもし欠けていたとしても、まだまだこの時期から巻き返すことも可能だ。

写真●体験型の人材育成プログラム「ミッション・コンプリート」を受講している若手社員。ベトナム・ホーチミン市内で課題達成に悪戦苦闘している
[画像のクリックで拡大表示]

 当然だが、同じ若手といっても、日本でのビジネスパーソンとしての業務経験の多さにおいては、内定者・新人とは大きく異なる。入社後の大事な10年間をどのように過ごすかは、海外で活躍するために大きな要因となる。

日本でがむしゃらに働いた経験が生きる

 シンガポールで、ある企業の東南アジア地域統括人事担当者にインタビューした際に、興味深い話を聞いた。「若いうちに、とにかく日本でがむしゃらに働いたという経験がこちらに来てから生きますね。量が質を凌駕するということでしょうか。その経験値が、現地のナショナルスタッフにリスペクトされることに繋がっていると思います」。