ITジャーナリストの林信行氏と、自動車ジャーナリストの川端由美氏のお2人によるCarPlay対談。前編では、CarPlayの基本概念やクルマの情報化を巡る自動車業界の内幕について語り合ってもらった。後編では、既に始まっているクルマのIT化の現状と将来的なインパクト、そして、そこに潜むビジネスチャンスについて展望してもらった。

(聞き手は石井 智明=日経コンピュータ編集委員)


図1●CarPlayについて<a href="" target="_blank">詳細な現地レポート</a>を送ってくれた自動車ジャーナリストの川端由美氏(左)と、アップルについて語らせたら国内で右に出る者はいないITジャーナリストの林信行氏(右)。(撮影:渡辺 慎一郎)
図1●CarPlayについて詳細な現地レポートを送ってくれた自動車ジャーナリストの川端由美氏(左)と、アップルについて語らせたら国内で右に出る者はいないITジャーナリストの林信行氏(右)。(撮影:渡辺 慎一郎)
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前半でジュネーブショーの様子について伺いましたが、CarPlayの第一歩としては、まずまずの手応えという印象でしょうか。

川端 これを先にやった方が自分たちのブランドの付加価値になるっていうのが自動車メーカーの方も分かっていますから。これはメルセデス・ベンツの例ですが、米国のベンツってすごくて、クルマに乗って自分のiPhoneをつなぐと、カーナビの目的地入力にiPhoneの住所録がそのまま使えるんです。なぜかというと、アップルとの正式契約を一番最初にやった自動車メーカーって実はメルセデスなんです。

 それに加えて、グーグルとも深くやっている。両方やっているのはメルセデスだけで、彼らはiPhoneでもAndroidでもとりあえずつながる。しかも携帯の住所録を引用できるのです。例えば私が林さんのお家を目的地に入れると、いきなりポンと定型文が出てくるんです。で、「由美は林の家に向かって行ってます。投稿しますか?」と出てきて、投稿先としてFacebookやTwitterが選べるんです。

 もちろん目的地もGoogleマップで見られるし、定型文としてポスティングしますかっていう機能までクルマ側でサポートしていたのです。CarPlayみたいなのが出てくる前から。米国でスタートしたところ評判がいいので、ドイツ本国でもこの機能を追加した。高級車メーカーはそういうことをやることが、自分たちのブランド力につながるというのが分かってやっているんですね。

 フェラーリについて言えば、タッチパネルじゃないところに「CarPlay」って刻印された専用の物理的なボタンが付いていたりします。それを押せば、車載ディスプレイがCarPlayの画面に切り替わる。これなら、スマホが使えないおじさんでも車載機としてなら使えるわけです。