Dynabookに改めて感動しました。といっても東芝のノートPCの話ではありません。アラン・ケイが提唱した理想像としてのパーソナルコンピュータ、いわば本物のほうです。

 今週、ITproでは、アラン・ケイが最初にDynabookという言葉を使ったとされるエッセイの日本語訳を、「アラン・ケイが予測した『子供たちのパソコン』」として紹介しました。1回目の「ジミーとべスが使う『DynaBook』、1972年に書かれたパソコンの姿」から、「DynaBookはコミュニケーションの道具、『行為によって学ぶ』手段を子供に」、「目標価格は500ドルで重さ2キロ弱、未来のパソコンDynaBookの見取り図」、「40年前にあったタッチパネルの原型、アラン・ケイが考えた入力装置」、「プロセッサーからコストまで、アラン・ケイがDynabookに託した夢」まで、すべてが刺激的です。もっと早く読んでいたら、と感じました。

 「技術を活用して社会課題を解決」するためのもの、「能動的なより良い『本』をもたらす」もの、といった次元から構想したことがまず素晴らしい。ノートPCというよりはタブレットに似た感じのイラストは今も新鮮です。価格の500ドル、4ポンド(1.8Kg)よりも軽いといった目標は現在にも通じます。キーボードについては、「感圧式」もあり得ると指摘しています。アラン・ケイのビジョンには驚くだけでした。

 もちろん現状のパーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレットと比べると違和感を感じるところもあります。例えば、Dynabookについて、「多くの場合、紙やノートの使われ方と同様にこのパーソナルなメディアは、所有者が自分自身との内省的なコミュニケーションをするために使われるだろう」といった予測、あるいは電力線通信による充電を想定しているような箇所です。

 ですが、この違和感すら、PCやスマホ、タブレットの今後を考えるヒントになっている気がします。もう週末です。少し長いかもしれませんが、ぜひ、アラン・ケイが予測した『子供たちのパソコン』のすべてをお読みください。