前回の記事中で、米国と日本では「エンゲージメント」という言葉に対する解釈が異なることに少し触れた。米国では、ソーシャルメディアマーケティングで「エンゲージメント」という言葉は、「何らかの反応を得ることができたリーチ」として考えていることが多く、「顧客との関係性」という意味合いは低いと説明した。今回はエンゲージメントの解釈について、もう少し深く掘り下げてみよう。

 ソーシャルメディアを利活用した施策をはじめとしたオンライン上の活動のKPI(主要業績評価指標)としてエンゲージメントを使うケースは非常に多い。このエンゲージメントが何をベースに測定されているかについて調査した結果を、米GoogleやAdvertising Ageが2013年11月に発表している。これを見るとエンゲージメントについて、企業によって、あるいは担当者によって様々な解釈がなされていることがわかる。

 この調査では「エンゲージメントを測定するために重要な指標」とは何かと聞いているが、それに対する回答は非常に多岐にわたっている。最も多かった回答が「Interaction Rate(交流率)」で85%を超えていた。Twitterならリツイートやメンション、Facebookなら「いいね!」やコメント、シェアの数とほぼ同義と考えていいだろう。日本のソーシャルメディア関連施策でも、ほとんどがこの指標を使っているはずだ。

 しかし米国の場合、エンゲージメントという言葉に対して、それ以外にも多くの解釈がある。「Interaction Rate」の次に多かったのが「Reach Influencers(インフルエンサーに対するリーチ)」で、これも全体の8割を超えていた。

 強い影響力を持つユーザーに対するリーチの発生が、即ち「エンゲージメントが発生している」という考え方だ。さらに、ほぼ同じ回答を集めたものとして「Drive traffic to retail locations/website(店舗もしくはウェブサイトへのトラフィック誘導)」というものもある。これは単に「リーチ」が発生すれば良いというわけではなく、サイトへのアクセスや店舗への訪問という具体的なアクションを伴っているものをエンゲージメントとして評価する考え方である。

 ほかにも「Sales/ROI(売上/費用対効果)」といった、さらに具体的な結果を伴う評価指標がある一方で、「Viewthrough conversions(投稿などは見たものの、クリックしなかったユーザーが、一定期間内に別ルートで売り上げなど、ゴールとなるページにたどり着く数)」や「Social buzz(ソーシャルメディア上の拡散効果)」という間接的な効果をもってエンゲージメントと評価するケースもある。