「NTTグループの『セット割』解禁検討か、総務省が乗り出した制度見直しの今後」を読んでいて、気になる一節がありました。セット割についてではありません。以下に引用します。

 「携帯電話市場では、大手3社が横並びでiPhoneを発売しており、月額料金は高い水準のまま、各社ほぼ変わらない状態となっている。先述の情報通信審議会での資料も、消費支出に占める通信費の割合は、2002年の3.6%(1万2056円)から2012年には1万6889円(5.4%)に上昇していると指摘。問題を提起している。

 かつて『マーケットリーダー』だったソフトバンクも、もはや見る影もない。ソフトバンクの孫正義社長は2月12日に開催した決算会見において、『これからソフトバンクは強者の立場として戦える。これまでは弱者の戦略だった。曲芸のような無理をせずに、着実に一歩一歩利益を伸ばしていけるポジションになれた』と語るなど、すっかり“大人”になってしまった」

 NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIの3社は今でも激しい競争を繰り広げているように感じていたのですが、状況は変わっていたようです。3社の決算はいずれも好業績ですから、いたずらに他社を刺激するのは本音では得策でないと考えているのかもしれません。

 上記の記事は、価格競争を仕掛けてシェアを拡大していったソフトバンクがiPhoneという武器を手にしたことで競争環境が一変したこと、再度、モバイルの利用料金を低下させるには、MVNO(仮想移動体通信事業者)とプリペイド市場の活性化が有効ではないか、といったことを指摘しています。

 さまざまな見方はあると思いますが、日本でブロードバンドが普及したのは、ソフトバンクがADSLで「価格破壊」に取り組んだからだと考えています。料金が高止まりすれば、モバイルで日本が世界をリードするのは難しくなっていくでしょう。モバイル料金が再び低下することに期待します。

 話題は全く違いますが、「大規模障害から1年余り、あの企業が「その後」を語った」も面白く読みました。大規模障害に取り組んだ当事者から初めて引き出した肉声もそうですが、取材している記者の考えが伝わってきて、生々しく感じたからでしょう。