数の単位にはいろいろある。その意味を気に留めることは少ないが、単位によっては意外な真実が隠されている。知られざる単位の謎を解き明かそう。

「16MiB」とはどのくらいの容量?

 本特集の第1回でも解説したように、パソコンでは、2進数と10進数の表記が混在している。中でも問題は、いくつかの単位が本来と違う意味で使われていることだ。

 記録容量や通信速度などに使われ、10の累乗倍を表すk(キロ、10の3乗)、M(メガ、10の6乗)などの単位は「SI接頭辞」といい、国際的に定められたものだ。だがパソコンでは、容量など2進数にのっとった数値でも、同じSI接頭辞を使う。そのまま表記した方が簡単だからだ。

 単位の併用で厄介なのは、数が大きくなるに伴い、その差が広がる点である。例えば、容量1TBは10進数だと(1000000000000バイト)、2進数では(1099511627776バイト)になる。約10%の差だ。この差は数値が大きくなるほど広がる。加えて、単位だけでは両者の判別がしにくい点も懸念されている。

 そこで国際電気標準会議(IEC)は1998年に、SI接頭辞に「i」を付けて区別する2進接頭辞の表記法を承認した。2の10乗倍がKi(キビ)、2の20乗倍がMi(メビ)となる。周辺機器メーカーの一部が仕様の表記に採用するなどしているが、本格的な普及には至っていない。

●数の表記に2種類の単位がある
容量の表記などに「MIB」(メビバイト)などの2進接頭辞が使われることがある。従来のSI接頭辞は10の累乗なのに対し、2進接頭辞は2の累乗になる
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