システム開発プロジェクトに失敗はつきもの。では、失敗はなぜ発生し、どうすれば防げるのか。その答えを、裁判に至った事例を基に解説するのが本書だ。著者はNECソフトや日本IBMに勤務していた元ITエンジニアで、現在は東京地方裁判所の民事調停委員(IT事件担当)を務める。その特異な経歴を生かした一冊といえる。

 取り上げた事例は49個あり、「要件定義」「プロジェクト計画と管理」「設計」「プログラミング」「テスト」「契約と仕事の完成」というプロジェクトの流れに沿って分類した。このうち例えば要件定義の事例では、「ベンダーが勝手に性能要件を消してしまった」「もし、要件定義の担当者がベンダーと『グル』だったら?」といった事例を挙げる。個々の事例については、美人弁護士とその友人たちの会話という体裁で、概要と防止策をコンパクトに示している。裁判の内容を詳しく知りたい人には物足りないかもしれないが、法律知識に明るくなくても理解できる。

なぜなぜ分析 管理


なぜ、システム開発は必ずモメるのか?
細川 義洋 著
日本実業出版社発行
2100円(税込)


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