日本通運の野口雄志常務理事IT推進部長とITリサーチ大手、ガートナー ジャパンの日高信彦社長がビジネスイノベーションについて語り合う対談の後編をお届けする(前編は『新しい時代に向かって新しいシステムを作りたい』参照)。

 グローバル企業としてITガバナンスをどうするかという問いに対し、野口氏は「現場の人たちがハッピーになり、拠点が良くなり、しかも日通全体にも貢献するIT利用を目指していく。これが日通流のグローバルITガバナンス」と語る。

(構成は谷島宣之=日経BPビジョナリー経営研究所研究員、中村建助=ITpro編集長)


日高:私がずっと野口さんとお付き合いをして分かったのは、御社はかなり早い時期から海外へ出られて、日本企業のグローバル化の先頭を走ってこられたということですね。

野口:先頭を走っているかどうか分かりませんが、国内ではなく現地でビジネスをすることをグローバル化と定義して話を進めるなら、おっしゃる通り50年以上前から米国に出ていったという経緯があります。

 当初は同じく外国に進出した日本企業を支援する仕事でした。日本の企業が外国へ出ていって貨物を動かす。日本人社員が外国に駐在に行くので引っ越しする。それらをお手伝いするところから始めました。

 日本企業の支援という点では今も変わりませんが、現在はもう少しビジネスのスコープが広くなってきています。

 米国で50年もビジネスをやっていると、その時代の経済状況で非常に厳しい時もありまし。しかし50年を通してみれば、米国に加え、ヨーロッパ、アジアを含めて順調に拡大することができました。海外のビジネスで歴史があるというのは、当社の大きな優位点になっています。

 特にネットワークを活用できるというのが大きいですね。拠点がたくさんありますので、人的ネットワークを含めて活用できる。繰り返しになりますが、歴史と実績、事例があるというのは本当に大きいことなのです。

 もちろん世界は広いので、それぞれの地域に色々なビジネススタイルがあり、全戦全勝というわけにいきませんが、総合的に見ると強みは持っているし、それを今後も強みとして残していくつもりです。

(右)野口 雄志氏
日本通運常務理事IT推進部長
1971年、日本通運総務部通信課(情報システム部門)入社。82年に米国日通のロスアンゼルス支店システム課長。東京国際輸送支店システム統括課長、97年米国日通の米州地域情報システム課長、米州地域情報システム部長を歴任。2007年、日本通運IT推進部長に就任(現職)。米国プロジェクト・マネジメント協会(PMI)認定国際資格、プロジェクト・マネジメント・プロフェッショナル(PMP)を取得
(左)日高 信彦氏
ガートナー ジャパン 代表取締役社長
1976年東京外語大外国語部卒業後、日本アイ・ビー・エム入社。96年アプリケーション・システム開発部長。2001年アジア・パシフィックCRM/BIソリューション統括。03年4月から現職。
(写真:的野弘路、以下同)