全国に調剤薬局を展開することで急成長してきた日本調剤。ジェネリック(後発医薬品)分野では、製薬会社を設立し製販一体で事業を推進するなど、アグレッシブに事業領域を広げている。今後の成長期待は、今年の「IT Japan Award」で特別賞を受賞したビッグデータ事業だ。ITをフル活用する「コンピュータ経営」を推進する三津原博社長に事業戦略を聞いた。

(聞き手は木村 岳史=日経コンピュータ 編集委員)

三津原 博(みつはら・ひろし)
1974年3月に昭和薬科大学薬学部を卒業。同年4月に武田薬品工業に入社。79年12月に同社を退社。80年3月に日本調剤を設立し、代表取締役社長に就任し現在に至る。2005年1月に日本ジェネリックの代表取締役社長に就任。12年1月に日本医薬総合研究所の代表取締役社長に就任。13年5月に長生堂製薬の代表取締役会長に就任。1948年6月生まれの65歳。(写真:陶山 勉)

調剤薬局などの業務のシステム化を強力に推進していると聞いています。

 我々の店舗は、今では500店舗近くに達しており、毎日のように増えています。全社で4000人超の従業員がいますが、創業以来ものすごいスピードで増やしてきました。そのため、マネジメントが急ごしらえで手薄なのです。若い人たちにも経営やマネジメントを担ってもらわなければなりませんが、マネジメント能力はそう簡単には身につきません。

 そこで、情報システムで業務を統制しようというのが我々の思想です。本当はシステム化することでマネジメントを“無人化”したいところですが、さすがに無理です。ただシステム化できる範囲はリアルタイムでチェックできるようにしました。

 警戒ラインを決めておき、それを越えるとリカバリーに入るといった発想です。例えば薬局で患者を15分以上待たせないように、システムで管理しています。それ以上待たせた場合、本部がそれを把握して店舗を指導するようにしています。

 売り上げも20分ごとにその時点での数字が正確に分かります。最近は稟議書も電子化して統制しています。毎日画面を見なければならず、私にとっては苦痛なのですが仕方ありません。