建設機械大手の日立建機は、双腕式の「ガンダム建機」の開発や、インド系移民のネットワークを活用したアフリカ市場開拓など野心的な取り組みで米キャタピラーやコマツを追う。ICT活用でも、コマツに先行し建機の稼働状況などを把握する仕組みを作り上げた。海外売り上げが75%を占める同社は強力なライバルとどう戦うのか。辻本雄一社長に事業戦略を聞いた。

(聞き手は木村 岳史=日経コンピュータ 編集委員)

辻本 雄一(つじもと・ゆういち)
1979年3月に大阪大学大学院基礎工学研究科修士修了。同年4月に日立建機に入社。99年8月に土浦事業本部機器事業部部長。同年10月に日立建機(中国)有限公司に出向、2000年10月に董事総経理。04年4月に日立建機の生産本部生産管理部長。07年4月に理事 調達本部長。09年4月に執行役に就任。11年4月に執行役常務、11年6月に執行役常務 取締役。12年4月より現職。1953年8月生まれの59歳。(写真:陶山 勉)

建設機械や鉱山機械の市場の変調が続いていますが、今後の見通しはいかがですか。

 2012年度後半からの資源価格の下落などが影響してマイニング事業(鉱山機械事業)が陰り、一般の建設機械も中国経済の低迷などで需要が減少し、2012年度決算は減収減益でした。中国の需要は春先にプラスに転じていますが、思ったほどは回復していません。これからも需要の状況を注視しないといけないと考えています。

 ただ日本や北米はそれなりに好調ですし、中国も夏以降に本格的に回復するでしょうから、2013年度は全体として少しプラスになると見ています。

現在の中期経営計画では、売上高1兆円を目指していましたが、達成は厳しそうですね。

 中計を作った当時は中国の需要がどんどん伸びていましたからね。中国を中心に世界の需要が大きく伸びるだろうと見越して、2013年度の売り上げで1兆円を目指すとしました。ですが、それに反して2011年度、2012年度は需要がどんどん減少してしまったのです。売り上げは全体の需要に連動しますので、我々にはどうしようもありません。

 そこで今は、売り上げが変動しても利益率をきちんと高めようと考えています。2012年度の利益率は7%でしたので、2013年度はぜひ二桁を実現したいですね。