規模の拡大や経年による組織の老化は避けることはできませんが、そのメカニズムを理解することで対策はできます。前回前々回で解説した「のこぎり曲線」()の全体の傾きをなだらかにする施策としては、ここまで述べてきた「考える組織」「理念の共有」「強力なリーダーシップ」のほかに、もう一つの施策が挙げられます。それは「のこぎり曲線の縦線」、つまり定期的な老化への対策に関するものです。

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 自然にしていれば老化は進んでいきますが、かといってそれを放置すべきではなく、こまめに“不自然な”力を加えてケアする必要があります。具体的には社内でプロジェクトなどを作って実施する効率化や改善活動が挙げられます。

自然に散らかるなら掃除するしかない

 「部屋が自然に散らかっていく」というのは、どこにでも起こり得る自然現象です。だから定期的な片付けや、大掃除が必要になっていきます。会社で言えば、ある一定期間毎に自然に進行していく老化現象に対して、短期的かつ不連続な対策を施すことです.具体的に言えば社内でプロジェクトやワーキンググループといった形で短期的な活動を起こして、老化を一時的に逆戻りさせることが重要です。

 老化というのは自然現象なので、これに抗う活動は人間の本能に逆らうような「不自然な」活動となります。あえてこれを実行するにはそれなりの計画や覚悟が必要になります。このためにこれまで述べてきたような、放っておけば進行する老化のメカニズム、例えば「ルールは増える一方」とか、「尖ったものが丸くなっていく」といったことを理解しておく必要があります(関連記事:「会社の老化」、その兆候をチェックする)。老化は不可避ですから「無駄な抵抗」はしない方がよいのですが、「必要な抵抗」には効果があります。