ビジネスブレイン太田昭和
会計システム研究所 所長
中澤 進

 前回(「IFRSへの対応のあり方に関する当面の方針」を読み解く(上))と今回では、金融庁が2013年6月20日に公表した「国際会計基準(IFRS)への対応のあり方に関する当面の方針」の意味するところを検証している(報告書はこちらで入手できる)。

 報告書は、(1)はじめに、(2)IFRSへの対応のあり方に関する基本的な考え方、(3)IFRS任意適用要件の緩和、(4)IFRSの適用の方法、(5)単体開示の簡素化、という五つのパートで構成する。前回は(1)から(4)の途中までを見てきた。今回は、続きを検証するとともに、日本が考えていくべきIFRSへの取り組み方について触れることにしたい。本文の太字部分は報告書からの引用である。

(4)IFRSの適用の方法
---エンドースメントされたIFRSを国際的に示す(続き)

 二つめの施策である「エンドースメントされたIFRS」の策定については、前回触れたように、日本が2011年11月にアジェンダコンサルテーション(詳しくはこちら)で優先的に取り上げるべき項目として挙げた(a)OCI(その他包括利益)とリサイクリング、(b)公正価値測定の適用範囲、(c)開発費の資産計上、(d)のれんの非償却、(e)固定資産の減損の戻入れ、(f)機能通貨、の一部を反映させることを想定していると考えられる。

 2013年6月19日付の日本経済新聞の記事では、リサイクリング、非上場株式の時価評価、のれん代の非償却、開発費の資産計上などをエンドースメントの対象項目として挙げていた。ただ、現状ではまだ明確に決まっていない。