「設計」は、ITエンジニアにとってその意味を意識することもない当たり前の言葉だろう。しかし「設計とは何か」と問いかけると、バラバラな答えが返ってくると著者は指摘し、この状況を「謎」と表現する。そしてこの謎は設計という言葉が多様な要素を含むから発生していること、謎を解消するには工程別やシステム構成要素別で整理し要素ごとに理解する必要があることを説く。

 こうした問題意識のもと、本書はシステム開発の設計要素を一つずつ整理。各要素に求められる基本的な内容と手順を、Webを利用した基幹業務システムを題材に解説する。例えば、アプリケーションやアーキテクチャーの設計に入る前にシステムの範囲と全体像を明確にする「全体設計」では、開発対象のシステムをいくつかのサブシステムに分割し、「システム鳥瞰図」としてその流れを記述するという。

 若手ITエンジニアが設計の全体像をつかみ、さらに個別の要素について押さえるべきポイントを理解するのに役立つ。

システム設計の謎を解く


システム設計の謎を解く
高安 厚思 著
ソフトバンククリエイティブ発行
2520円(税込)