この夏に読んでみたい2冊の本を紹介したい。ともに2013年6月に発売された、女性経営者の手によるものである。

 1つはディー・エヌ・エー(DeNA)の創業者である南場智子氏が現場復帰の初仕事として取り組んだ初めての著書『不格好経営』(写真1)。もう1つは米フェイスブックのCOO(最高執行責任者)であるシェリル・サンドバーグ氏の全米ベストセラーとなった本の日本語版『LEAN IN(リーン・イン)』である。

写真1●南場智子氏の著書『不格好経営』
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 この2冊は、共に女性経営者が書いた本であることと、同じ時期に(日本で)発売されたことを除けば、これといった共通点はない。ではなぜ一緒に取り上げるのかというと、2人が2013年7月2日に開かれたシンポジウム「グローバル・ウーマン・リーダーズ・サミット」で“共演”したからだ。

 私はこのシンポジウムに参加し、2人の講演を間近で聴くことができた。

 正直に言うと、私は2人の本を流し読みした程度でシンポジウムに出席した。「読んでから見るか、見てから読むか」という有名なコピーがあるが、私は南場氏とサンドバーグ氏の話題の本を「聴いてから(ちゃんと)読んだ」ことになる。IT業界の有名人である2人の話を直接聴いてから本を読めたのは、ある意味幸運だったかもしれない。

 シンポジウムで本人を目の前にして講演を聴いてみると、(過去に何度もお見かけしている)南場氏と、(初めて見た)サンドバーグ氏が、共にとても“お茶目”で、かつ繊細な人なのだろうなということが伝わってきた。

 そう思えたためか、2人の本には随所にお茶目で繊細なエピソードが出てきたようにも思えた(具体的なエピソードはぜひ本書を手に取って、自分の目で確認してほしい)。その意味では、私なりに2人の共通点を見いだせた。企業人として大成功を収めている2人が“意外にも”色々なことで悩んでいることも分かった。

 今日ここで紹介したいのは、シンポジウムに参加した私が、その直後に一気に2人の本を読み終えた、個人的な感想(書評)である。著者本人の話を聴いたうえで2冊をほぼ同時に読んでみたら、こんなところが印象に残ったというものである。