「進化するエンタープライズ・モバイル(1) パノラマ映像でテレビ会議、iPhoneで操作」に引き続き、企業向けモバイルの最新動向を、DEMO Mobileカンファレンスからレポートする。今週は、小型人工衛星を打ち上げ、その制御を一般に公開しているビジネスを考察する。

Arduinoを搭載した小型人工衛星

 この事業を行っているのは、NanoSatisfi (ナノ・サティスファイ) という、San Francisco (カリフォルニア州) に拠点を置くベンチャー企業で、小型人工衛星を開発し、その制御を個人や企業に開放している。NanoSatisfiが開発している小型人工衛星は、ArduSat (オーデュサット) という名称で、外観は上の写真の通りである。大きさはほぼ10センチ四方で、重さは1.3Kgである。ArduSatは、多数のセンサーを搭載し、地上からこれらを操作して、様々な実験を行うことができる。ArduSatが搭載しているセンサーは、加速度計、ジャイロスコープ、ガイガー・カウンター、放射温度計、カメラなどである。カメラは解像度が1.3Mピクセル、焦点距離が6ミリ、画角が60度で、想定される飛行高度から400km四方の撮影ができる。搭載されたセンサーはPayload Board (下の構成図の青色のボード) で制御される。このコントローラはArduinoというワンボードコンピュータで構成され、上述のセンサーやカメラを制御する。Arduinoはオープンソース・ハードウエアで、開発コミュニティで幅広く利用されている。