モバイル技術の進化が加速している。今回からシリーズで、「進化するエンタープライズ・モバイル」と題して、ベンチャー企業で開発が進んでいる、企業向けモバイル最新技術を、DEMO Mobileカンファレンスからレポートする。

テレビ会議がパノラマに進化

 最初は、Cupertino (カリフォルニア州) に拠点を置く、Altia Systems (アルティア・システムズ) というベンチャー企業をレポートする。Altia Systemsは、PanaCast (パナキャスト) という名称で、パノラマ映像によるテレビ会議システムを開発している。上の写真は、PanaCast Cameraという、パノラマ映像を撮影するカメラである。円盤状のデバイスに6台のカメラが埋め込まれ、200度のHDパノラマ写真を撮影する。カメラはスタンドに固定され、撮影したイメージをPanaCastクラウド経由で、会議参加者のiPhoneやiPadに送信する。

 Altia Systems CEOのAurangzeb Khanが、PanaCastによるテレビ会議で、製品概要を説明した。事前に、iPhoneに、PanaCastという専用アプリをダウンロードしておく。会議前に、Khanからテキスト・メッセージでURLを受信し、リンクにタッチすると、iPhoneでPanaCastアプリが起動し、テレビ会議に入った。上のスクリーンショットがテレビ会議を行っている様子で、画面は鮮明で、音声はiPhoneのスピーカーから出力された。

 画面をピンチするとイメージがズームアウトされ、会議室全体が表示された (上のスクリーンショット、iPhone画面の上部)。画面は6台のカメラで撮影したイメージから構成されている。見たい場所をダブル・タップすると、その画面にズームインする。画面を左右にスライドすると会議室の中を移動できる。

 上のスクリーンショットは、KhanがPanaCast Cameraを紹介している様子で、画面をスナップしてデバイス部分を拡大したところである。画面操作は快適で、左右へのスライドや、縮小・拡大操作は滑らかに行えた。上述の通り、画像は6台のカメラ・イメージを繋ぎ合わせているが、その境目は認識できなく、一枚の写真のように見えた。会議中に部屋の中を移動し、見たい場所をズームアップでき、新鮮な驚きを感じた。Skypeのように特定画面に縛られるのではなく、画面を操作して、発言者や出席者やホワイトボードなど、見たい場所に移動できるのは、自由を手に入れた心持であった。