今回から、前回のチェックリストの項目がなぜ「会社の老化」の兆候であるのか、そしてそれがなぜそうなるのかのメカニズムを具体的に解説していきます。今回のポイントは2つです。(1)「老化は成長の延長線上にある」、(2)「資産は時間とともに負債化する」という点です。

老化は成長の延長線上にある

 まずひとつめのポイント、「老化は成長の延長線上にある」ということですが、これは人間の成長と老化の関係を考えれば分かりやすいでしょう。

 まず本稿でいう「会社の老化」の定義をおさらいしておきます。ここでは「一方通行で後戻りできない現象が会社に負の影響をもたらしている状態」としています。ここでお気づきかも知れませんが、「成長」も前半の「後戻りできない一方通行性」という点では同じです。これがプラスに働いているうちが成長、マイナスに働き始めると老化になるということです。

 人間でも、以下のようなことが起こります。

  • 大きくなるために必要な栄養分はある時点から過剰になって「メタボ」の温床になる
  • 「一人前の大人」になるために身につけた一般常識はある段階から新しいことへの抵抗の要因になる
  • 若いときに目標としていた「地位や名声」は手に入れてしまうとそれが枷(かせ)になることがある