著者に聞く

三上 信男(みかみ のぶお)氏
三上 信男(みかみ のぶお) NECネッツエスアイに勤務。海外12カ国でネットワーク設計・構築を経て、2003年に人材育成部門へ。2011年から現場に復帰。
(聞き手は堀内 かほり=日経NETWORK)

現場に行き五感で情報を得よう

 「ネットワーク超入門講座」はネットワークを学び始めた初心者に向けて執筆した本です。2008年に出した第1版が好評だったので、その2年後に最新情報を追加して第2版にしました。

 執筆中に最も意識したのは「初心者である読者を飽きさせないこと」です。なるべく文字を少なくして、その代わりに絵や写真を増やしました。写真は仕事の現場でこまめに撮ったものです。また、専門用語もなるべく使わないようして、読者が説明を読んで「なぜ?」と思わないように心掛けました。

 私が本を書こうと思ったのは、自分自身がネットワークの知識を得るのに苦労したからです。私がネットワークエンジニアとしてのキャリアをスタートしたのは1990年代。その当時は今ほどネットワークが普及しておらず、ネットワークの技術書といえば海外で出版されたものだけ。当然英語です。仕方なく自分で翻訳しながら読んだのですが、とても苦労しました。

 この経験から「きっと周りの人も同じく苦労するだろう」と思い、海外の技術書を参考に、日本向けのノウハウを加えて現場のエンジニア向けに出版したのです。その後、ネットワークが普及して、様々な人がネットワークを勉強するようになったことから、「ネットワーク超入門講座」のような入門書を書くことにしました。

資格勉強は仲間作りから

 自分のスキルが最も伸びたのは、やはり1990年代にネットワークエンジニアとして現場で奮闘していた頃ですね。技術書を読むほかに、人に聞いたり、怒られたりしながら技術を覚えていき、まさしく現場で鍛えられたと思います。

 現場を見ることはとても重要です。私は若手に、Webなどで得た情報をうのみにするのではなく、「現場に行き、五感で得た情報を大切にしなさい」と言っています。自分の目で見ることに加え、ファンの音を聞き、においなども感じとる。そうすれば心に残るし、誰かに説明するときも現実的な話ができます。

 資格勉強もキャリアアップに役立ちました。資格取得を考えているなら、仲間を作ることをお薦めします。3人でも4人でもよいので、それぞれ別の本を買ったり、教えあったりして勉強するのです。1人で勉強するより進歩が速いはずです。まずは社内で仲間を集め、レベルアップしたら次は社外の人へと勉強仲間の輪を広げてみましょう。視野が一段と広がるはずです。

ネットワーク 超入門講座 第2版


ネットワーク超入門講座 第2版
三上 信男著
ソフトバンククリエイティブ発行
2079円(税込)