筆者は突然、ベトナムに行って英語で講演することになった。前々回(英語が話せるとやっぱりお得!)はそのいきさつとベトナムの英語事情について、前回(英語でプレゼン作りに挑戦!)は英語でのプレゼンテーション資料作りについてお話しした。今回はベトナムに行って感じた、「おっさん」にとっての英語勉強の難しさと克服法、さらにベトナムの魅力について紹介したい。

英語を身につけたいおっさんの辛さ

 筆者は42歳の「おっさん」である。英語の勉強は誰かに強制されたわけではなく、自分からしたくてやっている。きっと、会社からのプレッシャーなどによって、急に英語を勉強する必要に迫られた、筆者のようなおっさんもいるだろう。

 問題は、学生時代とは全然違う困難さがあることだ。おっさんの多くには家族があるだろうし、多くの人は仕事で忙しい盛りだ。

 英語の勉強とは、突き詰めれば「壮大な慣れ」だといえる。英語を大量にインプットし、同時に大量にアウトプットすれば、自然とできるようになるものだ。そのためには、いかに効率よく英語に浸るかが大切になる。海外の勉強法の中には「18カ月で合計10000時間になるまで英語を聞き続ける」というものもあるくらいだ。

 こうした勉強法は、学生のように「お金はなくても時間がある」人は実践しやすい。しかし、「お金はそれなりにあるが時間がない」筆者のようなおっさん世代が実践するのは非常に難しい。実際、筆者の身近にいる英語力がかなりのレベルにある人のほとんどは、学生の頃に英語を学んでいる。そうでない人も海外や外資系企業に勤務しているなど、どこかで英語に浸った経験を持っている。

写真●こんな感じだと100%英語生活(イギリスで)
こんな感じだと100%英語生活(イギリスで)

 さらにおっさんは「結果」を求められる年代である。筆者が以前勤めていた大手システムインテグレータでは、若手であれば、たとえTOEICの点数が低くても海外グループに配属になり、「そのうち慣れるから大丈夫」などと言ってもらえた。しかし、おっさんがそんなふうに言ってもらえることはまずあり得ない。いきなり「これからはグローバルの時代だから英語ぐらいできるようになれ」と言われてしまう。

 しかし、英語の習得に必要な大量インプット/アウトプットを実行する余裕はない。週1~2回英会話教室に通ったところで焼け石に水だ。もっと英語を大量にインプットしないとうまくならない。まして、日本にいながら英語を勉強しなければいけないので、効率よく大量インプット/アウトプットをしていく必要がある。英語勉強について、おっさん世代は辛い立場にあるのがお分かりだろう。

 今、多くの企業が社員に英語力の強化を求めている。本気で社員の英語力を上げたいのであれば、2~3カ月程度の語学留学を交代でさせたらいいのに、と筆者は思っている。