「クラウド」「モバイル」「ソーシャル」「インフォメーション」の4つの力の結び付き。米ガートナーはこれを「Nexus of Forces」と呼び、ユーザーの行動様式を変える一方で、新たなビジネスチャンスを生み出す原動力になるとの見解を発表している。このNexus of Forcesについてガートナーは、米国・オーランドで2012年10月21日~25日に開催された「Gartner Symposium ITxpo 2012」のキーノートで詳しく解説した。その講演を5回にわたってお届けする。

 3回目の今回は、マネージング・バイス・プレジデントのクリス・ハワード氏による、パーソナルクラウドについての講演を紹介する。なお講演の動画は、ガートナーの日本語サイトから視聴できる。


 Nexus of Forces---力の結節。これを個人の視点から見てみよう。パーソナルクラウドの力、コンテキストベースの経験が持つ重要性。これが、我々の未来の現実だ。

 私の仕事、プロフェッショナルとしての存在、家族、そして、細かい個人情報が仮想世界に映し出される---私のパーソナルクラウドだ。オフィス、自宅、空港、ディズニーワールドの遊歩道であろうが、どこにいても私は自分の生活の様々な局面に常に触れていることができる。例えば、「ビジネスで何か重要なことが起こっている」といったこともすぐに分かる。

 あれ、ちょっとおかしい。予定されている合併の話が漏れていなければいいのだが……。なんと、会社の評判が急落している。いったい何が起こっているのだろうか。

 会社の評判は顧客と株主の評価プラス社内すべての人間の評価を合わせたものだ。顧客のセンチメント(感情)値は変動するものだが、これはちょっと様子が違うようだ。普通、この値は80%前後なので、明らかに原因は別のところにある。

 後で会社の最高デジタル責任者(CDO)に何か知っていることはないかを確認し、私のチームにできることはないか聞いてみよう---。

 このように、すぐに対応が取れるのだ。

ガートナー マネージング・バイス・プレジデント クリス・ハワード氏
ガートナー マネージング・バイス・プレジデント クリス・ハワード氏

ゲーミフィケーションで世界中の従業員の関与を促す

 次にゲーミフィケーション(ゲームで使われている要素を、ゲーム以外の領域に活用すること、関連記事)の話をしよう。顧客サービスの提供方法を変えるため、世界中の従業員の関与を促す新たな方法を探るゲーミフィケーションの実験はうまくいっている。我々は、「アイデアマーケット」と我々が呼んでいる手法を駆使して、より顧客に集中した社風を促進する環境を実際に「プレイ」している。

 アイデアマーケットには、世界中の従業員から膨大な数のすばらしいアイデアが寄せられている。イノベーションを奨励する上で、従業員同士で切磋琢磨していく社風は最良の環境だと思う。従業員が自分の行動に誇りを持ち、それぞれが共通の目的意識を持つこと。これは、優れた企業の優れている点の1つだ。ゲーミフィケーションのおかげで、このような環境から高い効果を引き出すことに成功した。