マレーシアでの事業を強化している日系IT企業はデータセンター(DC)サービスを提供している通信会社ばかりではない。システム会社も同国を重要な拠点と位置付ける。その代表的な一社がNTTデータだ。NTTデータマレーシアの濱村誠プレジデント兼CEOに、同国での事業展開などについて聞いた。

(聞き手は宗像 誠之=日経コンピュータ


NTTデータの海外事業における、マレーシア現地法人の役割は?

写真8●NTTデータマレーシアの濱村誠プレジデント兼CEO
写真8●NTTデータマレーシアの濱村誠プレジデント兼CEO

 マレーシアに拠点があるユーザー企業のサポートはもちろんだが、そのほかにも様々な役割を持つ。マレーシア現地法人の最大の特徴は、東南アジア全域を対象としたクラウドサービスの基盤を設置している国ということだ。これは、他の東南アジアの拠点と比べて大きく異なる部分になる。

 というのも、マレーシアは低コストの割には品質が良いDCが多く、電力や通信インフラが安定しているからだ。値ごろ感のあるクラウドサービスを周辺国へ提供するには最適な場所で、東南アジア地域に各種のクラウドサービスを提供するための「基地」として位置付けることになった。

 実際に2012年7月から、仮想デスクトップなどを提供するクラウドサービスを、シンガポールやタイ、ベトナムなどの東南アジア地域へ提供し始めた(写真9)。

 また、マレーシアのDCを使って、ERP(統合基幹システム)のクラウドサービスも提供している。このように情報系から基幹系まで、幅広いサービスをクラウドで提供できるほどのDCと電力インフラが充実している新興国は非常に珍しい。

写真9●NTTデータマレーシアがデータセンターに構築したクラウドサービス用の設備
写真9●NTTデータマレーシアがデータセンターに構築したクラウドサービス用の設備
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