既にミャンマー現地法人設立の申請を済ませ、2012年秋にもオフショア開発の新会社NTTデータミャンマーが発足予定のNTTデータ。5年後に500人体制を目指すという強気の計画を立てる。NTTデータのグローバルソフトウェア開発ビジネスユニット部長で、NTTデータミャンマーの社長に就任する堀川雅紀氏に、拠点設立の背景や今後の戦略を聞いた。

(聞き手は宗像 誠之=日経コンピュータ



NTTデータの堀川雅紀グローバルソフトウェア開発ビジネスユニット部長
NTTデータの堀川雅紀グローバルソフトウェア開発ビジネスユニット部長

ミャンマーでのオフショア開発拠点の開設を検討し始めたのはいつごろか?

 2011年1月ごろに調査を始めていた。まず、インドにあるNTTデータグループの企業の人員に、ミャンマーにおけるオフショア開発の可能性を調査してもらった。そのときのレポートが「非常にポテンシャルが高い」という内容だった。

 この調査を受け、2011年7月からはNTTデータ本体から人を送り、現地IT企業の状況や日本語学校の様子、IT系大学など幅広く調べた。この時点で「大丈夫だ」と確信。開発拠点を作る社内調整を本格化させた。

 最終的には2012年5月にミャンマー政府へ会社設立の申請をしたが、当初はもう少し時間をかけて拠点を立ち上げる計画だった。しかし2011年秋ごろから、想定以上に国内外で注目が急速に高まってしまった。ほかの大手IT企業に先駆けるために、ミャンマーでのオフショア開発拠点の設立に向けた社内調整を当初予定よりも急いだ経緯がある。

NTTデータでは、中国以外にベトナムなどでもオフショア開発を手がけている。

 NTTデータでは日本から発注するオフショア開発の約9割を中国で実施している。残りの1割がベトナムやインドという状況で、日本向けオフショア開発は中国への依存度が非常に高い。

 ただ、中国では沿岸部を中心に人件費などが上昇しており、コストメリットを出すには内陸部に拠点を設けたり、他の国に拠点を作ったりする対策が必要になってきている。これまで、アジアのほかの国をリサーチしてきたが、調査して終わりというパターンが多かった。しかしミャンマーは違った。

 圧倒的に安いコストや日本語の習得能力の高さ、勤勉で穏やか国民性など、ミャンマーについて詳細に調べていくほど、日本向けの開発拠点として非常にポテンシャルの高い国だと、強く感じる。いずれ、日本向けのオフショア開発で中国を補完する重要な拠点となるだろう。

ミャンマーでの今後の事業計画は?

 予定通り、2012年秋に現地法人を設立できれば、まずは50人体制で始動したい。その後5年間で500人体制にする。会社設立に向け、仮オフィスを立ち上げて、中途採用などを始めた。秋からは新卒採用に着手し、採用が決定した人から順次、日本語やITの研修を早期に始めてもらう。

 ヤンゴン・コンピュータ大学にIT系の寄附講座を設けるなど、人材育成への貢献をしながら企業認知度を上げて、優秀なIT人材を採用しやすい環境を作っていく。

 ミャンマーではオフショア開発だけでなく、金融や公共分野におけるODAがらみの現地案件も手がける計画だ。