楽天銀行がIFRS(国際会計基準)対応に向けた新システム構築に向けたベンダー選定を終えて(関連記事:楽天銀行:パッケージの組み合わせで短期対応(前編))、実際の構築を開始したのは2011年1月のことだ。期間は1年とし、2012年1月からIFRSの金融商品会計基準(IAS第39号)に基づく処理を始めることを目指した。

最大50人、開発期間は1年

 この間にやるべきことは山ほどある。新システムでは日本オラクルのERP(統合基幹業務システム)パッケージ「Oracle E-Business Suite(EBS)」と新日鉄ソリューションズの金融商品会計用ルールエンジン「BancMeasure for IFRS」という二つの基幹系パッケージを新たに利用する。しかも、ただシステムを導入するだけでなく、「IFRS対応」という要件を満たしているかどうかを確認しつつ、進めなければならない。

 プロジェクトに関わるステークホルダー(利害関係者)も多い。楽天銀行はもちろん、楽天本社のIFRSプロジェクトメンバー、製品ベンダーである日本オラクルや新日鉄ソリューションズ、コンサルティングやプロジェクト運営を務めるプライスウォーターハウスクーバース、Oracle EBS関連の作業を担当する電通国際情報サービス、監査法人、既存システムを担当するベンダーなどが関わってくる。プロジェクトマネジメントの進め方も、成否の鍵を握っていた。

 プロジェクトは、楽天銀行の大塚年比古 執行役員財務本部長兼国際業務室長がプロジェクトマネジャーを務め、その下に「会計」「金融商品」「システム」に関するプロジェクト運営を務める「プロジェクト管理チーム」を置いた。

 実際の作業部隊は主にOracle EBSの導入を担当する「新会計システム導入プロジェクト」と主にBancMeasure for IFRSの導入を担当する「金融商品会計対応プロジェクト」に分かれ、楽天銀行とベンダーがチームを組んだ。参加人数は「最も多かった時期でも50人程度」(大塚執行役員)。楽天銀行側は主に参加したのは4~5人だった。

 スケジュールはほぼ2カ月刻み。会計システムでは2011年1~3月を要件定義、3~4月を設計・レビュー、5~6月をテスト・研修、7~8月をテスト結果レビュー、9~10月をテスト結果レビューとユーザー教育、11月を検収、12月を移行という計画を立てた(図2)。

図2●システムの構築スケジュール
図2●システムの構築スケジュール