これまで何回かに分けて、企業がソーシャルメディアを含む、デジタルを用いたアプローチを、的確に戦略・施策に組み込むにあたって、どのような点を意識して考えていけばよいかという点について、いろいろと述べてきた。そこでは、自分たちのコミュニケーション活動にとって、「ペイドメディア」、「オウンドメディア」、「アーンドメディア」のトリプルメディアに位置付けられるものを、オンライン、そしてオフライン問わず一通り挙げてみること、そして特にオウンドメディアをきちんと作ることこそが重要であるという点について詳しく掘り下げてみた。

 こうして、オウンドメディアを軸とし、ソーシャルメディアを自然に組み込むようなコミュニケーションを設計していくと、その効果測定についても、いろいろ意識しなくてはならないことが出てくる。今回は、そうした効果測定についての話をしよう。あえて言えば、今回は以前に掲載した『より戦略的な「効果測定」の考え方とは』の「続編」といえるだろう。

効果測定のために把握する部分が大幅に増加

 少なくとも、オウンドメディアを軸にしている以上、自分たちの、特にオンライン上におけるオウンドメディア(企業サイト、キャンペーンサイト、メールマガジンなど)のパフォーマンスをきちんと追っていかなくてはならない。そしてソーシャルメディアに限らずアーンドメディア全般においても、今では新聞社、出版社をはじめとした、いわゆるメディアのサイトの記事一つひとつが、ソーシャルメディアを介してつながる状況を作っている。

 つまり、これは「効果測定」という作業において、自分たちが見ていかなくてはならない領域が、以前と比べて明らかに拡大していることを意味している。同時に、もちろん単にソーシャルメディア上のパフォーマンスだけを追っても、仕方がないということになる。

 たとえば、大掛かりな施策を行うというわけではなく、例えば新製品などの発表に関して、単にプレスリリースを出し、関連するイベントを実施した場合のようなケースであったとしても、以下ののように、効果を把握するために見るべき部分は数多く出てくる。

図●新製品発表のプレスリリース配布やイベントを実施した場合に効果を測定すべき部分
図●新製品発表のプレスリリース配布やイベントを実施した場合に効果を測定すべき部分
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 つまり、これまでのオンラインやオフラインのメディアをモニタリングするのに加えて、検索エンジンやソーシャルメディアなどについてもモニタリングする必要がある。検索エンジンでは検索結果の順位の推移や検索数、ソーシャルメディアではメディアのWebサイトからの波及効果の検証やブログをはじめとする一般の人の発言や波及状態を把握するべきである。そして、最終的には、それがどのくらい企業サイトなどオウンドメディアへの誘導につながっているかを確認する。

 おそらくこれまでも、これらの数値をまったく見ていなかったということはないだろう。上記の図はいかにももっともらしく描かれてはいるが、企業がビジネスとして何らかの施策を行う際に、これらをきちんと把握するのは、ある意味で当たり前のことだ。