前回は、ソーシャルメディアを実際に利活用していくにあたって、まずは目的をより明確化した上で始める必要がある点、そして目的を明確化するにあたっての考え方について触れた。

 目的が明確化されれば、もちろん次は展開された施策が、その目的に確実に向かっているかというところが気になってくる。つまり「効果測定」である。今回は、この「効果測定」にあたって、どういった点を意識していけばよいかを考えてみよう。

既存の方法では効果を測定することが難しい

 現在の企業のコミュニケーション活動において、オンライン上でのユーザーの行動に関しては、すでにその相当の部分がガラス張りの状態になっているといってもよいだろう。Web サイトへのアクセスを見てみても、どれだけの期間(時間)に、どれだけのユーザーがサイトに訪れたかという単純な情報だけではなく、誰が、いつ、どれだけの回数サイトを訪れ、サイト内でどのような行動を取り、最終的にどうなったか、といった個々人の行動を事細かく追いかけることも不可能ではない。こういった情報をまったく追いかけていない企業は、むしろかなり少なくなっているかもしれない。

 特にオンライン上のコミュニケーション活動に関しては、そのパフォーマンスがどのようなものであったかが、非常に細かく数値化された上で評価されることが多いのが現状だ。ただし、ソーシャルメディア上のコミュニケーション活動におけるパフォーマンスの評価について、これまでと同じようなやり方を適用するのは非常に困難だ。ソーシャルメディア関連施策の効果測定を考えるにあたって、まず前提としてこのことをきちんと理解しておいた方がよいだろう。

 なぜソーシャルメディア関連施策の効果測定が、これまでのオンライン上のコミュニケーション活動の効果測定と同じような形にならないのか。その最たる理由はコミュニケーションを行うプラットフォームが、自分たちのコントロール下にないという点にある。

信ぴょう性のある正確な数値が得られるとは限らない

 TwitterであってもFacebookであっても、それ以外のソーシャルメディアであっても、自分たち以外の誰かが構築し提供しているサービスを、1ユーザーとして利用するという使い方が基本である。自分たちの持つプラットフォーム上でブログやSNSを展開させるということもあるだろうが、そのようなケースは多くない。

 このため、自分たちが効果測定などのために使いたい数字が必ずしも取得できない状況にあるということをまず認識しておく必要がある。また、仮に数字が取得できた場合であっても、その数字が必ずしも正しいということが証明できないという、信ぴょう性の問題もある。身も蓋もない言い方になるが、ソーシャルメディア上のコミュニケーションについて効果を測定していくにあたっては、そもそも元となる数値がアバウトなものであるという前提に立って、その上で得られる数字について自分たちの施策によって得られた効果の大まかな傾向を俯瞰する程度のものとして認識した方がよいだろう。

 では、そういったアバウトな数字を、どのような形で料理していけばよいのだろうか。そのために重要となってくるのが「相対的な評価」である。この「相対的な評価」にもいろいろとあるが、大きくは3つに分けられる。具体的には「他人の数字」「Before & After」そして「ソーシャルメディア以外の数字」--である。