検索連動型広告(またはリスティング広告)は、検索エンジンによる検索結果ページの広告枠に表示されるテキスト広告のことを指す。例えば、ヤフーやグーグルで「パソコン」と検索した結果の脇にパソコン直販サイトなどのリンクがずらりと表示されるが、これのことだ。
出稿主は、表示させたいキーワードごとに入札価格を決めて検索サイトに入札する。すると入札価格の高い順に上から表示される。表示だけでは料金は発生せず、クリックされて初めて料金が発生する仕組みなので、トータルな広告費用は一定期間が経過するまで分からない。
この検索連動型広告をこれから始めようという企業から、必ず聞かれる質問がある。「どのくらいの予算を取っておけばよいのか?」という質問だ。稟議書を書いて予算を確保するならば当然の質問だろう。
このときまず考えるべきなのは、1件の受注を獲得するためにかける費用(CPA=顧客獲得単価)の目標値である。例えばある通販サイトにおいて、CPAが5000円と想定したとする。毎月、200件の受注を取りたいなら、毎月100万円が必要な「予算」となる。
しかし、このようにCPAの目標値をすんなりと決められる企業はまれだ。主に2つの理由がある。
第1に、多くの広告担当者は「受注単価」という考え方になじみが無い。「予算枠の中で使い道を配分するものだ」と考えている。
第2に、CPAを考えるためには、受注1件当たりの平均的な購入単価や原価率などを知る必要がある。だが平均購入単価などは通販を実際に始めてみなければ分からない。リピート率によってもCPAとして許容できる上限金額は変わるはずだが、何年も通販に取り組んだ企業でさえめったに把握していない。
同業他社のCPAを探ったり、店舗などほかのチャネルにおける受注当たりの営業費用を算出したりして決められるケースもあるのだが、必ずしも有効とはいえない。現実的には「CPAの設定はいったん棚上げして、用意できる予算枠でキャンペーンを始めてしまいましょう」と助言することもある。
例えば、予算100万円で開始し、月半ばで170件弱の受注が取れた時に、予算を使い切ったとしよう。1件当たりのCPAは約6000円となり、目標とした5000円を若干上回ったことになる。だがさらに続ければコンバージョン(この場合は受注件数のこと)は当初目標の200件を大きく超えることができるので、追加予算を投入しよう、というふうに検討すればよい。このように現実の数字を見て初めて、採算性や機会損失について実感が伴い、ピンと来るケースも多いのだ。
