さて、皆さんと長らくプロジェクトの計画書作りを続けて来ましたが、いよいよ計画書の最後の項目となる“リスク”について考えてみたいと思います。
まず、“リスク”とは何か。紡ぎ出される、PMの横糸(2)をもう一度読んで確認してみましょう。
そうですね、簡単に言えばリスクとは「このままでは問題が起こるかもしれないと言う予感」ということです。
例えば、
・お客様からの要求が曖昧なため、途中で資材の追加が必要となり予算オーバーとなる(可能性がある)
・採用した製品にメンバーが不慣れで、組み立て作業に時間がかかり納期に間に合わない(可能性がある)
などといったものをリスクと呼びます。
プロジェクト活動は新しいチャレンジであり不確実性が伴うため、このようなリスクが数多く潜んでいるはずです。それらのリスクを洗い出し、先んじて予防策を講じておくことがプロジェクトを成功させるためには非常に効果的なのです。また、予防策を打ったにもかかわらず、リスクが実際の問題となって顕在化した場合の対策(「発生時対策」などと呼びます)をあらかじめ検討しておくことも重要といえるでしょう。
計画時にリスクの対策をしっかりと検討する
これらのリスクに対する活動はプロジェクトの実施期間を通じて継続的に行われるものですが、プロジェクトの実際の作業が始まると徐々にリスクへの打ち手が限られて来るものです。
少々大変ではありますが、計画書を作成する段階で十分にリスクを洗い出し、予防策を計画内容にしっかりと反映しておけば、プロジェクトの作業が進んでから「計画時にもっと考えておきゃよかった…」と後悔しなくても済むのです。
それでは、まずリスクの洗い出しです。
いくつかの方法がありますが、一般的なのはプロジェクトメンバーから意見を聞いてリスクを集めることです。例えば、「このプロジェクトを進めていくに当たって、何か心配していることはある?」などと聞いてみれば様々な意見が出てくるでしょう。
ただし、たまに「そんな後ろ向きのことを考えずにさ、とにかくガンガン突っ走ろうぜ!」とか、「そんなの今考えなくても、問題が起こって時に頑張ればなんとかなるさ!」といったモーレツな意見が出る場合もあります。いえいえ、いずれにせよプロジェクトには多くの困難が待ち受けています。そこにエネルギーを集中させるためにも、あらかじめ想定できるリスクは皆で知恵を出し合って、事前に潰しておかなければならないのです。